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2012
06/25
Mon

2012年06月25日(月曜日) 死に至る道

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(09:20)オリベッティという会社がありました。今はその名前さえもほとんど聞かないし、見ない。何度かの危機の後、テレコム・イタリアに買収されたからだ。タイプライターやコンピューターで有名だった。

我が家の親戚にこのオリベッティの日本法人に勤めていた人がいるのです。告別式後の精進落としのテーブル(中華でした)で一緒だったので、いくつかの話題の後で、「ところで、あの会社はなぜ潰れたのですか」(私の言葉で)と聞いてみたのです。答えは以下の通りでした。

「会社が危機になったとき、イタリアの本社の社長に銀行から人が来た。メーカーのことは何も知らない。その銀行社長がやったことは、徹底したコストカット。特に金融の世界にない”研究・開発部門”は格好のターゲットになった。

それから3年くらいして、オリベッティには”売れる商品がない”という状況になった。新製品を開発していないだからそうなる。時間をおかずして会社は行き詰まった。簡単ですよ。今の日本の企業にも同じようなことをしているところがある。今後が心配」

私の親戚の話です。しかしこの話には納得出来たな。外から来た経営者はあせって数字を良くしようとする。製造業を知らない銀行出身の新しい経営者なんてそうでしょう。「私で数字は良くなった」と言いたい。

しかし、メーカーの場合3年も研究開発をしなければ、そりゃ市場が欲するような新製品は出てこなくなる。あとの業績は釣瓶落とし、というわけです。私も今の日本企業のいくつかが行っていることには非常に批判的です

短期の数字を良くするために「聖域なきコストカット」は聞こえが良い。しかし今のように技術も消費者の嗜好も足早に変わっているマーケット環境で研究・開発をしなければ、「数年後には新製品が全くでなくなる」のは当たり前だ。かつて次々に新製品を出しており、それが注目された会社の中に、今は殆ど注目されなくなった会社もある。危ないと思う。

その他の日本の企業の中にも、優秀な技術者をまだ若い段階で結果的に追い出してしまっているところがある。彼等を欲しがっている韓国や中国の企業は一杯ある。中には「ソウルへの週末出稼ぎ」を迫られるほど待遇を落としている会社もある。

日本の政治の世界にも、技術開発の重要性を知らないかのような発言をするアホな連中が多い。政治は資源配分が仕事ですから、将来に繋がらないような資源配分が進むとしたら、それは日本の将来に関わる。研究開発の面で国は企業を支援しなければならないのに。今の日本で新たな雇用を生み出せるのは企業だけだ。

研究・開発に力を注がないような会社は過去がどうであれ、4~5年先はないでしょう。オリベッティのように「過去に存在した会社」になってしまう。同社も私が社会人になったころは、非常に有名な、輝いていた会社でした。時は失敗した会社を確実に過去のものにしていく。早く間違いに気がついて欲しいのだが。

09:41
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