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2007
10/05
Fri

2007年10月05日(金曜日) 政府系ファンド

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 (22:34)今日の日経が夕刊の一面トップで扱っている「政府系ファンド」とは、金融界で「Sovereign Wealth Fund」と呼ばれているものです。「国富ファンド」という直訳もあるが、最近日経は「政府系ファンド」の訳を使っている。

 モルガン・スタンレーが今年の5月にまとめた規模順位は以下のようになっている。

 アラブ首長国連邦(UAE アブダビ投資庁)   8750億ドル
 シンガポール(テマセク、政府投資公社)   4300億ドル
 ノルウェー(政府年金基金)         3000億ドル
 中国(外貨投資機構)            3000億ドル
 サウジアラビア(複数の公的ファンド)    3000億ドル
 ロシア(安定化ファンド)          1000億ドル

 しかし直近の報道では、中国の「政府系ファンド」は2000億ドルという説もある。

 世界の運用資金は、その大部分が株式や債券、それに大都市の不動産などに向かう。従来は民間ファンドが大部分だった。互いに運用競争をし、基本的には「いざというときには臆病な資金」としての性格が強い。

 しかし今月末に開かれるG7で取り上げられるSWFは、時に国の力に支援された大胆な動きをするかもしれない。介入の時のような、「一方向の意志」が出ればそうだ。時にはある国の企業など直ちに買い上げてしまうようなことをするかも知れない。される方にしてみれば、安全保障などの面で大きな課題だ。

 中国は以前、アメリカの石油会社ユノカルを買収しようとしたが、アメリカ政府の反対姿勢もあり諦めた。同じ事が日本の企業で起きようとしたら日本はどうするのか...という問題意識も持たないといけない。だから、なかなか今月のG7はサブプライムの問題もあり面白い。

 なぜこうしたファンドが大胆になりうるのか。「国の意志」に加えて、国が保有する外貨準備(foreign reserve)やオイルマネーなど、非常にパワフルで巨額な資金を背景としているからだ。かつ恐らく非常に少人数によって運用方針が決められる。

 国がらみのファンドは、従来は米財務省証券などを買っていた。これはアメリカにとってもメリットがあった。しかしより高い運用成績を求めて、運用先を多様化しつつある。外貨準備が国家の重要な資産の一つと考えられるようになってきたし、今の世界では米財務省証券以外に投資できるより高利回りの商品がいっぱいあるからだ。各国は「外貨準備を運用しなければ損」と考えるようになった。それでも、純粋投資ならまだ分かりやすい。しかし仮に政治的意図が入り始めたらややこしい。それがアメリカなどの懸念。日本も外貨準備は9000億ドルもあるが、どうなっているのでしょうね。

 はっきり言って、民間ファンドとは区別し、その行動は監視すべきだと筆者も思う。その境目は微妙になるのでしょうが、意志決定のはっきり見えない国も多い。それにしても、以前が外貨準備は「何ヶ月分の輸入を賄えれば....」という類のものだった。今は国家が運用に手こずるほど巨額になっている。金融市場の形も大きく変わってきたと言うことです。

23:09
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