(07:25)さてニュースは....と思ってネットを開いたら驚愕する記事が。ニューヨーク・タイムズに「Saudi Arabia Rejects Security Council Seat」と。つまりサウジアラビアが安保理の理事国の席を断った、と。
これには国連関係者だけではなく、私も驚いた。過去にあったのかな、こんな例が。だって安保理に席を持つと言うことは常任理事国の5カ国を除けば世界中の外交官にとってある意味夢ですから。いろいろなカレントな危機に関する情報が入ってくる。"なぜ"と記事を読むと、
The sudden reversal was a decision made at the highest levels in the Saudi monarchy. It appeared to reflect a deep-seated anger over what the monarchy regards as a failure by the Security Council to deal effectively with the major problems in the Middle East: the Syrian war, the Palestinian-Israeli conflict and the influence of Iran, Saudi Arabia's regional rival.
とある。「sudden reversal」というのは、私は知らなかったがサウジは最初は受諾の意向だったということでしょう。国連も「あの国は受諾したと思っていた」。それを突如ひっくり返した、ということです。
しかもその決定は外交当局ではなく「the highest levels in the Saudi monarchy」、つまり「国王レベル」であるということ。この記事には、「サウジの外交官はとっても興奮していた、喜んでいた」とありますから。それがひっくり返った。「王政の内部も割れているのかも」とこの記事。
ではその理由は ? 「シリア内戦、イスラエル・パレスチナ紛争、サウジの地域ライバルであるイランの影響力の伸張など中東の主要問題に対する国連安保理の機能不全に対するサウジサイドの根深い怒り」と言われれば、「そうかもしれない」とも思う。
この決定は事前にアメリカに通知されていたのかどうか。まだそこまで読んでいないが、アメリカもこれには驚く、または「驚いた」でしょう。なぜなら安保理の決議の際に、サウジがいると言うことは決議数がアメリカサイドに有利になりますから。
しかしサウジサイドから見ると、「安保理なんて何が出来るのか。何か大きな問題があればあるほど、ロシアや中国が拒否権を使うので安保理は何も出来ない」「そんなところに加われない」という思いがあったに違いない。特にアサド政権に対して国連が何も出来なかったことに、サウジはいらだっている可能性が強い。
加えて言うならば、アメリカのオバマ政権に対するしっぺ返しだとも考えられる。サウジはオバマ大統領の「シリアを空爆」のシナリオに賛成だったはずだ。しかしオバマは決定を議会に丸投げし(最近私は彼を"丸投げ君"と呼んでいる)、ロシアの外交戦略に乗らされた。
国連もアメリカも頼りにならない。今回は「拒否がサウジにとって最良の利益」と国王は考えたはずだ。地味だが面白いニュースだと思う。