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2014
05/06
Tue

希薄化しないウクライナ情勢

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 (23:43)ウクライナ情勢が緊迫度を増している。日本が休みの間に相次いで主にキエフの暫定政府サイドと親露蜂起派との間で衝突が起き、それによって「親露派に30人以上の死者」といった状況。キエフ側にもむろん死傷者が。問題なのは、事態が落ち着く「兆し」「シナリオ」が描けない状況であることだ。

 欧米側が主張している通り、恐らくウクライナ東部や南部の親露蜂起派にはロシアの人的・物的な支援が入っている。しかしロシアは「彼等は独自で動いている」と主張している。それだけに親露派は「ロシアの言いなりではない」という状況を作り出していると思われる。言う通りにしたのは、監視団の残りのメンバーを解放したことぐらい。

 キエフの暫定政府サイドも問題が多い。自らの東部・南部の治安当局者に疑念を表明するなど、自らの統治能力不足を宣伝してしまっている。この結果、国内では事態収集がつかなくなっている。今のところロシアが正規軍をウクライナ領内に入れる動きは報告されていない。依然として「国連安保理を要請」レベルの動きだ。

 しかし問題なのは、キエフ暫定政府が東部・南部への統治権を脅かされ、軍も警察も必ずしも思うとおりに動いていないことだ。暫定政権の軍や警察にも、いわゆる「親露派」と言われる人が含まれていると思われる。ウクライナの国内情勢は複雑なのだ。

 これだけ事態が混迷してくると、マーケットも懸念を強める。日本が連休中の世界のマーケットでは、株価(特にアメリカのそれ)が「既に天井に近いレベルまで上がっている」(各種指標は史上最高値近辺)との見方もある中で、しばしば「売り要因としてのウクライナ情勢」が材料として取り上げられている。もっともウクライナ情勢は、株価を大きく崩す材料にもなっていない。

 着地点なき地政学的リスクは、動かなければ通常は希薄化する。尖閣がそうだ。しかしウクライナ情勢にはその兆しはまだ見えない。ヨーロッパの心臓部に近い地政ポジションで、かつ今の国際秩序を揺るがす形で進行しているだけに希薄化は時期尚早とも言える。

 一つ望ましい状況があるとしたら、それは米露、ヨーロッパとロシアの繋がりが切れていないこと。つい最近もケリーとラブロフ、メルケルとプーチンは電話で話し合いを持ったとされる。欧州サイドの外相レベルの話し合いも続いている。5月25日の選挙をなんとか実施する環境を整えようというものだ。

 しかし言えるのは、ウクライナ国内では双方が熱くなっている、その結果事態の今後の進展は予測不可能だ、ということだ。ロシアは折に触れて「ウクライナからはロシア系住民の助けを求める声が届いてくる」と述べている。アメリカとヨーロッパは「ロシアがウクライナ東部・南部の親露派を操っている」と非難している。

 混迷の事態は続きそうだ。

23:39
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