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2014
07/01
Tue

どこに向かうの......

day by day
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 (10:48)中国の軍最高幹部の一人だった徐才厚・元中央軍事委員会副主席の党籍が剥奪されたというニュースを見ながら、「一体習近平という人は自分の治政が終わる頃の中国をどのようにしたいのだろうか」「中国をどのような国に導きたいのだろうか」と考えてしまいました。

 というのは、この人がやることは深い(?)のか、そこまで考えていないのか、なかなか理解に苦しむ。例えば「虎もハエも叩く」というのは、今のような汚職体質蔓延の党ではいつか国民から見限られる、という胡錦濤時代からの判断があるのでしょう。

 それは正しいと思う。叩けば叩くほど、自分の権威も上がる。今回は"軍"ということで、中国国内でも「よくそこまで」という見方もあるらしい。しかし中国の軍は「産軍共同体」のような存在だ。本当に戦ったときに勝てないという懸念がある。だから軍を締め直そうとしたとも受け取れる。

 しかしその先はどうか。汚職退治だけで一党独裁の党である中国共産党が本当に「清廉な政党」になるなどあり得ない。一党独裁ということはそこに権力、権限が集中すると言うことであり、限りない汚職や、人事の縁故主義が蔓延る温床そのものが党でありそれが残るということだ。習近平が残したいものの一つは共産党だろう。

 だからスローガンとしては「虎もハエも....」は格好いいが、所詮ご都合主義適用になるのだろうと想う。言ってしまえば権力闘争の面が大きい。とすれば、8年後の中国共産党はどうなっているのかと考えてみると、相も変わらず汚染されたままだし、権力闘争の行方次第では元の木阿弥状態になる可能性がある。

 経済政策も理解が難しい。景気の悪化が続いている中で景気には上向いて欲しいはずだ。しかし「過剰な宴会はやめろ」「公務員は高い時計も買うな」と続く。人々に消費の抑制を強制しているようなものだ。下の層の所得の引き上げによる貧富の格差の縮小がなければ、先進国並の「GDPの6~7割が消費」という経済に到達するのは無理だ。いつまでも輸出や投資に頼ることになる。しかしそれも永遠継続は無理だ。

 今習近平政権が今行っていることは、もっぱら経済の金回りを悪くしている。日本でも官官接待禁止の風潮が吹き荒れた頃には(それは良いことだが)、例えば仙台とか札幌の景気は冷え込んだが、同じようなことが中国の諸都市で今起きている。ある意味庶民(レストラン、店舗経営者など)いじめでもある。その中で李克強の経済政策の苦戦は続く。

 習近平が「まだ危うい」と言われる自らの権力の強化と権威の確立にやっきなのはそうだろう。何か特別な政府委員会(日本流で言うと)が出来ると、必ずと言って良いほど自分をトップにする。今は中国の首相の権威はガタ落ちだ。周恩来は権威があったし、温家宝も経済政策を担っている自負があったろう。実際は何も出来なかったとしてもだ。

 そして自らは「中国の夢」というある面では意味不明のスローガンを掲げている。一般的には「中華民族の偉大なる復興」を意味するらしいが、かつての歴史上の中国の「偉大」さは、もっぱら帝国としての偉大さだから、今時それを目指しているのか、という気もする。

 端的に言えば「覇」が欲しいのだろう。アメリカと双肩し、場合によっては凌駕する。しかしアメリカの「覇」は色々議論があるが人類の普遍的な理想を取り入れた上での「覇」だ。今の中国には、世界の人々が「それは素晴らしい」「それは理想に出来る」というものは何もない。としたら、周囲の国を脅すか、「俺と付き合っていれば有利だぞ」と懐柔するしかない。

 そんな国が本当の意味の大国になれないことは明らかだ。習近平は本当は自分と育ちも考え方も似ている薄熙来を失脚させ、徐才厚、周永康という過去の政権の幹部を追い詰めている。それにおののき、一方で強い不満を持っている人は結構多い筈だ。

 だから彼が提唱する「中国の夢」に行き着く前に「たかころび」する可能性がある。いつとか、どうしたらそうなるのかは分からない。しかし客観的情勢を私なりに考えるとそうだと思う。それがなくても彼が目指すとしている「中華民族の偉大なる復興」は、その中味の欺瞞性に気づいた台湾や香港の人に「ノー」と言われている。中国の人々にも言われかねない。その前に彼に不満を持つ人が動くかも知れない。

 日本にいる我々には「彼の国で起きることは、彼の国の人々が決めることである」としか言えないが、やはり理解しがたいことが進行しているのは気になる。一つ言えるのは、国内で抱えた矛盾を外に向けるのはやめて欲しい、ということだ。そういう国が別にあるので、特にそう思う。

11:00
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