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2014
11/19
Wed

仮定の話ですが...

day by day
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 (09:45)朝移動しながらちょっと「頭の体操」していました。昨日の安倍総理の記者会見に関連して。もし彼がこう言ったらどうだっただろう、ということです。

 「国民の皆さん、やはり消費税の10%への2%引き上げをやらせて下さい。それによって日本の社会保障制度をより足場のしっかりしたものにします。国民の皆様の将来に対する不安はかなり低下すると思います。確かに今年7-9月期のGDPは厳しいものでした。しかし今後安倍政権は一段と経済を活発化する第三の矢を相次いで放ちます。よって経済は活性化し、2%引き上げを予定している来年10月までに景気はきっと良くなります。国民の皆様には長い視点を持っていただき、 末永い日本という国の安定の為に2%の消費税引き上げを御願いしたいと思います。」

 昨日安倍さんが公表した「消費税引き上げ、信を問う総選挙」という現実に打ち出された政策との仮想的対比です。「消費税引き上げ、信を問う総選挙」と単純化して書きましたが、実際には安倍さんはもっと詳しく今回の決定に至った経緯を喋っている。しかし仮に同じような意思の強さを示しながら茶色くした部分のようなことを安倍さんが言ったとしたら、「国民はどちらに真摯な態度を見たか」です。結構これは面白い設問だと思う。

 むろん安倍首相は、日本の財政事情に対する長期的な視点を忘れてはいません。2017年の春には「必ず消費税を2%引き上げて10%にする」と言っている。これは国民に対する、また世界の投資家に対する発信と考えて良い。

 だから、少なくとも言葉の上では日本の財政の将来に対する懸念を十分安倍さんは勘案している。しかし1年半といのはそれほど短い期間ではない。既に世界の格付け機関は「この遅れ」を、日本の国債の健全性の観点から検討し始めている。

 問題は一方の「仮のシナリオ」と、打ち出された「現実の政策」のどちらが"消費"に与える影響が大きいかです。仮に消費が「現在の所得の水準」よりも「将来への確信」により基づくとしたら、もしかしたら私が仮定した安倍首相の上記発言の方が消費の底上げをもたらしたかも知れない。

 私が「消費は現在の懐具合よりも、特に大きなモノについては将来に対する確信により多く依存している」と考える理由は、「確信があれば人々は車や家を買う」という過去の経験から来ます。今はそうではないが、昔は大企業に入った若者は入社して間もなく結構借金して車を買った。将来に対する確信があったからです。

 だから国民から安倍さんの仮定発言が信頼を得たとしたら、消費税の引き上げ据え置きよりも消費は増えるかも知れない。「据え置き」は時間を稼いでいるだけで、その間の経済政策は直ぐに上げるときよりもおざなりになると考えることも出来るからだ。

   先日も触れましたが、「消費の臨界点」に達していた人にとっては、「現実に所得が上がる」「今後への展望が開ける」という二つの条件が重要な要素です。今まではデフレだったから、例えば年金(ほぼ定額ですよね)生活者などは「生活が楽になる」という回転だった。

 しかし消費税が上がり、主に円安で輸入品が上がると、突然今までの年金の購買力が落ちる....という回転になっていた。そりゃ消費を控える。その層が厚いほど、日本の消費は値上がりに弱い。

 では商品券を配れば良いのか。影響は一時的です。それで自分の将来が確かなものになったと考える人はいない。使ったら終わり。だからどうしても「経済全体が良くなる」ことが必要です。一部の人、一部の業種ではなく。

 その点については安倍さんも昨日の記者会見で「政策を打つ」と言っているので、現実がこういう形で動き出した今は、「その政策」の中味が問題になる。一つ明らかなのは日銀の一本足打法ではもう「無理が見えた」ということでしょう。それは黒田さんも知っているはずです。

 政治、経済、社会がかかわる問題に「単一の解答」はない。政府、国が選べる方途は一つであり、その他は「仮定」の話となります。しかし私はこの設問を考えているときに、「こっちの方が良かったのかもしれない....」とちらっと思った。あくまで仮定の話ですが。

15:26
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