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2015
03/16
Mon

超緊張の中国指導部

day by day
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 (12:25)今朝の新聞では日経が全人代を巡る記事で秀逸。息を飲むような生々しい表現が踊っている。

 まずは新聞だと一面の真ん中にある「習氏独壇場、その先は見えず」は次のような文章で始まる。

  中国国家主席の習近平は今、外での行事の際、一度配置した警護要員を信頼できず、5分前に数百人を総入れ替えする緊張を強いられている。全人代の席で習が飲むための茶器を女性の係が置く場面では見慣れぬ男性要員2人が後方から監視した。「凶行を警戒すべき場面は数年で20回近い」ともいわれる。

 こんなビビッドは表現の記事は久しぶりだな。その後には「長老嘆かす強権」と続く。そうなんでしょうね。今責められていて、「あいつなら」と支持した長老の中には、「間違えた」と思っている人も多いでしょう。それにしても習近平主席も心穏やかな日々を送っているとは思えない。自分に敵対する虎を退治しているわけだから。当然恨みは買っている。だから5分前に警備要員を全員替える。

 この記事の半ばには、首相の李克強に関して「首相の李克強の権威の低下は著しい。演説中、多くの代表があくびをし生中継に映ってしまう」とある。存在感が著しく薄くなっていたことは聞いて知っていたが、「多くの代表が\(~o~)/ふあぁぁ」とは。

 李克強に関しては日経は7面にも「独自色避け、慎重発言」との記事を載せている。その中には

  李氏は会見で「腐敗があれば、必ずたたく」とすべきを「腐敗をたたけば、必ず腐敗する」と逆の意味に言い間違え、訂正する場面もあった。全人代初日に発表した政府活動報告でも後から重要部分だけで17カ所も訂正が入るなど不手際が目立った。

 という表現がある。「腐敗をたたけば、必ず腐敗する」は高等な習近平批判かとも思われるが、そうじゃないでしょう。それは間違えたのだと思う。加えて政府活動報告の重要部分だけで17カ所も訂正を入れるとは。

 間違いがそれだけあるということは、「秀才」の誉れ高い李首相の頭が「他の事に向いている」「喋っていることに実は関心がない(自分が決めていないから)」ことの現れだと思われる。だとしたら彼は何を考え、何をしているのか。

 習近平という人間の存在が李克強の心を不安に、そぞろにした、とも考えられる。それだけ中国の指導部全体(地方レベルを含めて)が超緊張状態にある、ということでしょう。李首相は一方で、「中国企業にはなぜ洗浄便座(中国からの観光客が日本で爆買いしている)が作れないのか」とも語ったと伝えられる。

 そんな緊張した指導部を持ち、それに連なる官僚、そして国営企業の幹部も発言に気をつけねばならない国から、自由な発想の新商品が生まれるとは思えない。だから今の中国の指導部が経済の「質を上げる」と言っているのは、「見果てぬ夢」に終わる可能性が高い。

 李克強はそれを知っているから一言一言を強く発言する例の口調でパワーを見せようとしているが、「実は何も権限のない自分をどう扱って良いのか分からなくて、言うべきことを間違えている」のではないか。

 日本に旅行に来ていた中国の庶民は明るく、お金使いも奔放だった。それに対しての習近平、そして李克強の隠しようのない緊張。困った国が隣にあるものです。何か起きないかと常に気になる。ぶつぶつ言っているだけの国はまだかわいい。

12:35
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