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2015
11/26
Thu

バユル・ブジャク地区のトルクメン人

day by day
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 (23:40)一瞬のうちに緊張激化。ともに大人の国ではあるが、"民族"が絡むと思わぬ方向に展開する危険性もある。

 トルコ空軍によるロシアの戦闘爆撃機撃墜問題です。直近ではプーチン大統領はトルコ政府に謝罪を求めているが、トルコ政府は「正当なことをしたまで」と譲る気配はない。そうした中でロシア政府は得意の「検査のため」と称してトルコからの主に農産物輸入に嫌がらせを始めた。一種の経済制裁だ。

 調べていくと複雑です。このサイトで明らかなようにトルコのエルドアン大統領は「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」に繰り返し触れている。つまり「親戚がアサド政権やロシアから攻撃されている」「見逃せない」との主張。

 では「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」とはどういう人達か。「he Turkmens of Bayirbucak」という文章があって、つまりシリアとトルコの国境が画定されたときからの問題だと分かる。つまり「シリア・サイドに取り残された同胞」というのがトルコ側の捉え方。

 アサド政権やISIS攻撃を口実にした「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」に対する攻撃が激化しているために、この地区のトルクメン人が「より安全なトルコとの国境近くに押し寄せている」という記事も見つけた。トルコとしてはそもそも「ロシアはけしからん」と思っていたのだ

 トルコとシリアの国境を見ると、ところどころで入り組んでいる。トルコ領がシリアサイドに出っ張っているところがあるのだ。これから見ると、ほんの一瞬でもロシア機がトルコ領を侵犯した可能性はある。一説には17秒間という説も。トルコは警告の録音を公表している。

 関係悪化は突然やってきた。欧米の対ロ制裁にトルコは加わらず、それもあってプーチン大統領ははこれまで、トルコのエルドアン大統領と良好な関係を築こうとしてきた。トルコの農産物輸出もロシア向けに増えていた。欧州各国がロシアに輸出しなくなったからだ。

 さらにロシアからのトルコ向けパイプラインの共同建設話などが進んでいた。つい先日まではプーチン氏はトルコを「優先的なパートナー」で「親しい友人」と呼んで、エルドアン大統領と良好な関係を築くことに気を砕いてきていた。

 そこにこの事件だ。トルコは長きにわたってNATOの一員で、そのNATOは「アサド政権の退陣」を求めている。アメリカも同じ。対してロシアの戦略は「アサド政権を中心に据えてのシリア政局の安定化」だ。そもそもの対立点がここにある。

 だからトルコとロシアの関係改善は元々脆弱だったが、ここに来て「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」の問題もあり、「ともに引けない立場」になった。そこで登場するのがフランスのオランド大統領だ。今日か明日プーチン大統領と会談する。ともにISISから多数の自国民を殺された。

 「頼むからシリアでの爆撃は対ISISに集約してくれ」とオランドは言う。それに対してプーチンが「分かった」と言うのかどうか。かなり難しい。しかしロシアには弱点もある。徐々に「友達が少なくなっている」という点だ。もしかしたら、そこが鍵になる。

23:37
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