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2016
06/26
Sun

解き放たれてしまった遠心力

day by day

 (00:50)解き放たれちゃったのは「巨大な、しかも数多くの遠心力」かな。むろん欧州がそうだが、世界でも。その中で中ロは3日間で二回もプーチンと習近平で首脳会談。中味は伴わないものの(貿易関係は希薄)、「俺たちはとりあえず一緒でいよう」と言っているように見える。

 遠心力 ! 対する言葉は求心力。むろん強まる遠心力の中で、求心力を求める力も働いている。例えばオランドはルペンと会談した。ルペンの先走りを警告するためだろ。しかしオランドが大統領として一右翼政党のポピュリスト党首と会談した、という事実がフランスでも働き始めた大きな遠心力を際立たせている。であるが故に、オランドはルペンを引き寄せようとしている。遠心力を弱めようと。

 遠心力をまずイギリス国内で見る。今BBCには「200万人が投票のやり直しを請願」とある。「投票のやり直し」ね。仮にそうなったら、イギリスの分断は決定的になる。多分できない。しかし「(イギリスがEUから出ていくなんて)許せない」という人々は多いはずだ。多分、この動きは続く。勝利した離脱派は反発する。

 イギリスは「次の舵取り」をする人を探すのに苦労している。キャメロンは10月に辞めると言ったが、「じゃ、次は誰だ」ということになる。しかし離脱で目立った動きをした人ほど残留派から指弾される。ボリス・ジョンソンが良い例だ。再投票を請願する人々のポスターには「No Boris」と書いてある。じゃ、誰が....? 次の首相が決まらなければ、EUとの離脱交渉も出来ない。

 スコットランドは連合王国政府(ロンドン)を差し置いてEUと交渉を始めた。「EUにおけるスコットランドの地位を守るため...」という理由だ。そりゃそうだ。スコットランドでは62%が「残留」を支持した。スタージョン行政府首相は「スコットランド独立の再投票の可能性が極めて高い」と言っている。

 北アイルランド(連合王国を形成する一つ)では、今は国境もないアイルランドとの「合体」を求める声が出始めている。スコットランドほど具体的ではない。しかし北アイルランドの人にとって見れば、今は全くフリーなアイルランド(独立国)との間に国境検問所ができるようなら、それは大きな衝撃だろう。

 もしイギリスがスコットランドと北アイルランドが抜けた連合王国(イングランドとウエールズ)になったらどうなるか。スコットランドは人口530万人、面積80080平方キロ。北アイルランドは人口181万人、面積13840平方キロ。

 今のイギリス連合王国は人口6410人、244820平方キロだから、その二つが連合王国から離脱すれば、イギリスは人口の11%、国土面積の38%を失う。それはイギリスが日本と比べて人口が半分以下、そして面積は約4割の国になることを意味する。そうなれば代価の高い"独立"だ。シティがフランクやアムスにその地位を奪われれば、イギリスは何がウリになるのか。

 一方のEU。フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクなどEUオリジナルの6加盟国で外相会談を開いた。「どう対処するか」で。そしたら、エストニアだったかな、外相から「なぜ全加盟国の外相会談を先にやらないのだ」とクレームが付いた。そりゃそうだろう。

 ユンケルやEUサイドには「次の離脱」を避けるために「イギリスがキャメロンの言う離脱交渉担当者としての次の首相を決めるのを待たずに、直ちに離脱交渉すべし」という厳しい意見が強い。しかし「急くべきではない」と言っているのがメルケルだ。じゃ、EUは急ぐのか、それとも少し時間をイギリスに与えるのか。ここでも意見が割れる。

 オランダやフランスでは反EU政党や勢力が、「イギリスと同じような国民投票をやれ」という発言力を強めている。理屈は「究極の民主主義」でその通りだのだが、危ない。欧州各国ますます、国内と外交関係で遠心力を高める可能性がある。ま、オランドとメルケルの個人的関係では求心力は残りそうだ。しかし来年ドイツ国民は再びメルケルを選ぶだろうか。オランドはどうだろう。支持率は低い。

 トランプが「(英国のEUからの離脱は)イギリスはEUから独立し、彼らの政治や国境、経済を取り戻した。英国で起きたことは米国でも11月に起きる。11月の大統領選で米国民は再び米国が独立を宣言し、世界のエリートによる今日の支配を拒否する機会を得るだろう」と語ったことは日本でも報じられている。

 これに対しクリントン前国務長官(68)は同じ日、「英国民が下した選択を尊重する。こうした不確かな時代だからこそ、米国民の家計と生活を守り、同盟・友好国を支援して敵に立ち向かい、米国の利益を守るため、ホワイトハウスには冷静で安定し、経験のある指導力が必要だ」と述べたとも伝えられる。

 しかし彼女はそれとは別に自分の選挙運動にメールアドレスを登録した支持者に対して以下のような危機感溢れる文章を送っている。私はクリントンの支持者ではないが、おもしろ半分に登録したので送られてくる。それには

 We all woke up to the news that the United Kingdom is leaving the European Union.Now, David Cameron is resigning as the UK's prime minister, the pound is plummeting, and stock markets the world over are dealing with massive levels of uncertainty.

 Right up until the moment the outcome of the vote was announced, political observers and financial analysts were confident that the referendum to leave the EU would fail. They never actually processed the possibility of a different result.

 We can't make the same mistake.

 No matter what the collective wisdom of our political punditry has to say between now and November, Donald Trump has a real chance of winning this election. Together, we have to wrap our minds around that fact -- and resolve to act on it.

(後略)

 このメールの最後は「だから献金して下さい」となっているのだが、気になりますよね。「Donald Trump has a real chance of winning this election」という文章。支持者に「油断するな」と言いたいのでしょう。しかしいかにイギリスのEU離脱がクリントン氏にとって衝撃だったのかは分かる。

 イギリスがEUから離脱すると国民投票で決めたリパーカッションは、世界のあらゆるところに届いている。「そんなことが起きるんだ....」と。遠方にも。かつビッグに。あちこちで見える遠心力の渦(言葉の矛盾ですが)。でももう眠いので寝ます......。

04:51
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