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2008
02/23
Sat

2008年02月23日(土曜日) 大の慢心 ?

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 (06:56)清徳丸がイージス艦「あたご」に左舷をぶつけられて沈没、二人の方が行方不明になっている問題は徐々に経緯が明らかになってきていますが、私がずっと議論の中で欠落していると思っていたのは「当然小が大をよける」という道路でも見られる現象が海でも常態化していたのではないかという視点でした。

 「小の方が大をよける」というのは、道路では一般的に見られる。大型トラックが隣を走っているときには、軽四輪やバイクがそのトラックに敢えてチャレンジするということはしない。特にトラックの運転が荒いときには、周囲の小さい車がまず避ける。ぶつけられたら潰れるのは小型車だからだ。

 もちろんそれぞれの運転手の性格もあるのでしょうが、少なくとも私はそうしている。多少トラックの運転が「法令から見ておかしいんじゃないか」というケースでも、事故になったら面倒だし、ましては死んでしまっては元も子もない。防衛策です。

 陸でも大と小の移動体の関係はそうなのだから、海でも実はそうなのではないかと考えてきたのです。木曜日のテレビでも、金曜日のラジオでも申し上げた。

 もちろん、大きな車にしろ船にしろ法令違反は違反です。してはいけない。しかし、法令とは別に、「小さい方が避けてくれるんだ」「小さい方が回避行動を取ってくれるんだ」「こっちは大きいから、傷つくのは向こうだ」という一般的認識はあると思う。ぶつかっても安全(生命に異常ない)なのは大きい方だから、「小さい方が気を利かすだろう」という感覚です。

 今朝になってそういう見方が新聞に載り始めた。以下に引用した読売新聞の記事なのです。私は「あたご」の方に回避義務があった思われる状況の中でも自動操舵で直進した大きな背景は、この日常化した「小さい方が避けるだろう」という慢心にあったのではないか、と考えている。大きい方としては、「こっちが舵を切るのは大変なんだよ」という気持ち、甘えがどこかにある。法令よりも時にそういう認識が先に立つ。

 もっと言えば、「こちとら国を守っている」「だから漁船が我々を避けるべきだ」という一種の傲慢な気持ちはなかったのか、とも思っています。まあこれはこれからの調査ですが。法令と現実とはいつも齟齬する面がある。その齟齬が時に陸でも海でも大きな悲劇を招く。法令ではしばしばすべての移動体は同列です。しかし現実はかんり違う。

 以下が読売新聞のサイトに載っている記事です。少し引用します。

大型船との衝突、小型船の回避が常態化…あたご側に予断か

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、なぜあたごは直前まで回避行動をとらなかったのか。

 海上衝突予防法は2隻の船が互いの航路を横切る際、相手を右に見る方が避けることを義務付けている。だが実際には、小回りの利く小型船が大型船をよけるケースが多く、漁師や海事関係者らは「あたごは漁船団がよけてくれるだろうという予断があったのでは」と指摘している。

 東京湾の出入り口やその近海は、タンカーや自衛艦などの大型船から漁船などの小型船まで、様々な船舶が頻繁に行き来する。ある遊漁船業者(35)は、小さな釣り船を操縦する際、「自衛艦とわずか数十メートルの距離ですれ違うことが多いが、よけるのはいつも自分の方だ」と話す。全長100メートル以上ある自衛艦は小回りが利かない。釣り船は半径30~40メートルで旋回できるため、自衛艦に回避義務があるケースでも、「客の安全のためにも、こちらから早めに回避している」という。

 大型船が頻繁に往来する海域で操業する漁船も「遠慮」を口にする。大阪湾で操業する漁業者で作る大阪市漁業協同組合は「自分の身は自分で守るしかない」。また、伊豆大島に住む50歳代の男性漁師も、「大きな船とけんかしても負けるから、その前によける」と話す。

06:23
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