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2017
03/17
Fri

オランダの選挙が残した教訓

day by day
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 (14:32)投票率が80%という日本では考えられない高率になったオランダの議会選挙。「ヨーロッパを席巻している」と言われ続けた「移民排斥・EUからの遠心力運動」の先行きについて、同国の選挙結果から見えてきたものがある。

 それは一般的に「極右」と言われる政党(オランダではウィルダース率いる自由党)は「伸びるが、政権を取るところまで行かない。政権奪取からはまだかなり遠いところにいる」ということでしょう。

 それは多分フランス(ルペン率いる政党)やドイツ(ドイツのための選択肢運動)でも同じです。トップ(首相など)選任において「直接選挙か、間接選挙か」というシステムの違いにおいて、ヨーロッパでは間接を取っているところが多い。

 恐らくアメリカが多党による議院内閣制だったら、クッションがあるのでトランプは大統領として登場していなかった。圧倒的な二大政党制で、かつ大統領はほぼ国民の直接選挙制(州ごとに勝者と獲得選挙人の数を決めるという特殊な方式だが)だから、間隙をぬう形でトランプは大統領になった(総得票数ではヒラリーが勝っていた)。

 そういう意味では、ヨーロッパでもフランスに「極右政権が誕生するリスク」がより高くある、と言える。国民が「ルペン」と書く数が多ければ、彼女が大統領に就任する。しかしフランスには第一回、決戦(上位2者による)というアメリカにはない二段階ある。まだクッションがある。そういえば英国のEU離脱を決めた国民投票は、掛け値なしの「一発投票」だった。

 ウィルダースは「第一党になっても、首相は難しい」と言われていた。自由党と連携を組む政党が他の27政党の中には一つもなかったからだ。今回も、選挙そのものでは退潮したルッテの自由民主党が政権連立与党の中心になると思われるのは、同党となら連立を組むだろう政党が散見されるからだ。

 第一党になっても「首相になるのは難しい」と言われたウィルダースが、第一党(12→20 ルッテの党は33←40)にもならなかったのだから、「勝ったとは言えない」というのは当たっている。

 しかし問題は「獲得議席数そのものは大きく伸ばしている」ということだ。ルペンはその点を捉えて、「我々は前進している」とオランダの選挙結果を評価した。ここでは「時間の経過」がどちらの援軍になるか、という問題がある。極右を「別の選択肢」として選ぶ国民の数はヨーロッパでも依然として増えている、と言える。それが問題だ。

 だからルッテなど、これからもヨーロッパを率いる政治家の責務は、「国民の間に広がり続けている移民への敵意」をどう拡散できるのか、ということだ。移民の数を減らすのか、それとも社会の中にうまく溶け込ますのか。理想は後者だが、これは難しい。

 今回はトルコとのバトルがルッテに味方した。ルッテがトルコに対して対決姿勢を見せた。故に「ルッテは移民に必ずしも優しくない」という判断が国民の間に広がって、ウィルダース(ある意味、危険人物)以外に選択肢がある、と国民が思ったのだと思う。

 そういう意味では、アジアの民主国家では完全大統領制を取る韓国に「大きく振れる」危険性が高い。投票日は5月9日。火曜日でこの日はお休みになるという。それにしても、今の立候補予定者の中には「保守」と言える人がいない。最初から国民に選択肢がないように見える。それが心配だ。

 一般的に言えるのは、「ポピュリズムへのある程度の歯止め」は、多元的な選挙システムそのものだと言える。選挙民に「考え直す」時間の余裕を与える。対して一発直接選挙は危ない。終わってから反省する時間的余裕がない。選挙システムにも「余裕」があった方が良い。

14:10
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