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2009
05/17
Sun

2009年05月17日(日曜日) マネー資本主義

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 (22:25)NHKの夜9時からの「マネー資本主義」の第二回を見ましたが、まあ金融のドラマとしては何とかして分かりやすいようにしたいという気持ちは伝わってきて、「どう作るのかな」と思って見ている人間には「そうきたか」と面白かった。

 ただし分かりやすいようにしたい、話を整理したいという気持ちが強すぎて、「ちょっとこれはどうかな」という点もいくつか。短期金利を上げても上げてもアメリカの長期金利が上がらない原因のところで、突然「ミセス・ワタナベ」が出てきたのにはちょっと驚きました。話を日本と結びつけたかったのでしょう。しかしそれは渡辺さんの責任ではなく、政策サイドの話が大きい。

 2000年代の半ば、アメリカ(というより世界の)の長期金利が上がらない謎(conundrum、グリーンスパン語)の理由としては、「市場経済のスパンの拡大(労働力供給量の潤沢さ)」「年金運用の長期化」「デフレ心理の残像」「ITを使った生産性の向上」など色々状況があったのに。まあ捨てて捨ててあれになったのでしょうね。

 翻訳にも問題があるように思いました。耳で聞いただけですが、日本がアメリカの長期債を売る売らないの話の中で、アメリカの発言者が「日本が長期債を売ればアメリカの金利に影響が出る」と言っているのに、下の帯では「アメリカ経済に影響がある」になっていた。これはちょっといただけないな、と思いました。

 問題は振り返りではなく、今の超刺激、超金融緩和を抜けた後に金融と財政をどのようなタイミングで引き締めに舵を切るかですが、その点を番組では最後に「できるのでしょうか」という疑問形で結んでいた。しなければバブルの繰り返しになります。

 一つ見ていて「あら」と思ったのは、昨年10月15日のクルーグマンとの私のインタビューのVTR、「あえて責任者を一人挙げろと言われれば、それはグリーンスパン」というクルーグマン発言部分が使われていたこと。半年しかたっていないのに、随分昔のような気がしました。

 あのVTRは惜しかったんですよね。ノーベル賞をもらった次の日でしたから、当然日本人として初めてインタビューしたわけで、当日でも電波に乗せることが出来たと思うのですが、クルーグマンがつかまったというのがうまく東京に伝わっていなかった。

 番組の最後に地球上の陸地という陸地からお金が落ちているイメージが映ったのですが、マネーの量をどう管理するのか、というのは今後ますます大きな問題となるでしょうね。締め過ぎればお金が回らなくなって大きな不況になる。締めずに膨らましすぎても市場の自律調整によって市場は収縮し、経済活動に不調をきたし、その結果不況になる。

 アメリカの金余りの張本人として番組はグリーンスパンとルービンの二人を挙げていた。しかしアメリカの好況、それをもたらした金余りを歓迎したのは、政治家も、市場関係者も、そして一人一人の国民もそうです。だからバブルは実は経済政策の問題と言うより、国の政治や、その背景ある国民の成長期待、富を歓迎する気持ちなどと密接に関係している。これらすべて関数をうまくコントロールしようとするのは非常に難しい。

22:39
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