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2008
10/11
Sat

2008年10月11日(土曜日) トラスト(trust)欠如

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(06:00)朝起きて金曜日の引け直後のウォール・ストリート・ジャーナルを眺めたら、どえらい見出しの連続。
  1. ダウ、1000ドルのスイングのあと128ドル安で引け(NASDAQは小幅高)
  2. モルガン・スタンレー、一ケタドル台に急落、ゴールドマンも大幅安
  3. 石油価格、80ドルを下回る
  4. GEの利益が22%減少
  5. 朝方の600ドル安からの反発にもかかわらず、今週一週間のニューヨーク・ダウの下げは18%に達し、112年のニューヨーク証取の歴史で最悪
  6. The U.S. is weighing two dramatic steps to repair ailing financial markets: guaranteeing billions of dollars in bank debt and temporarily insuring all U.S. bank deposits(銀行債務の保証と全銀行における全預金の一時的保護という二つの劇的措置で、病む金融市場を修復する方向でアメリカは検討中)
 相変わらず動きが激しい。朝方600ドル以上下げて寄り付き、引け際には一時300ドル高があったが、引けで128ドル下げた、という展開らしい。午後の引け際の反発を支えたのはシティバンク(9.1%高)やJPモルガン(13.5%高)などの銀行株の上げだったという。「なぜ」はこれから調べないと行けない。空港に着いてからか。

 しかし、まだ良く読んでないが、モルガン・スタンレーやゴールドマンは急落したということは、旧インベストメント・バンク業態への不信感や個々の企業への格下げがあったということでしょう。寝る前に聞いたブッシュ大統領の演説は、その時点では株価を押し下げただけの効果だったのですが、確かに不良債権買い取りに関する法律に触れた中で「銀行への資本注入」の可能性を示唆していた。今朝の日本の新聞の見出しはこれになっているが、アメリカの新聞はあまり大きくない。8分間の演説の最後の方だったと思った。

 G7の声明は現時点では出ていない。今から一時間後らしい。CNBCを見ていたら、ローレンス・サマーズなど識者が次々に出てきて、「lack of」の後に「trust」とか「confidence」という単語を繰り返し使っている。サマーズは、「銀行間の、そして国民と政府の、そして政府とウォール街のトラスト(信認)の欠如」が問題だと。だとしたら、その相互不信を育てたのは何だったのか。金融機関は相互にやっていることを知っていたはずで、「だからこそお互いに信頼できない.....」ということか。

 昨日自分のアメリカに書いていた文章を思い出した。ちょうど二年前の10月の中旬にニューヨークに滞在した際にまとめたもので書いた文章「Where are you going .....?」の一つの結果が今のウォール街の現状、今の危機に苦しむアメリカだったとしたら、悲しい。その時自問したことは、

  1. 滞在期間中の2006年の10月17日朝に人口3億人になったアメリカ。今後どれだけ人口を増やすのだろうか。EUをいつ追い越すのだろうか

     

  2. グローバリズムを唱えながら、ニューヨーク証券取引所の回りには頑丈な防御ポイントを設け、市場経済の心臓部を守ろうとするアメリカ。そしてメキシコとの国境には高いフェンスさえ作ろうとするアメリカ。やっていることが矛盾しているとは思わないのか

     

  3. 誰にでも夢を与えてきたアメリカ。しかし中産階級は限りなく厳しい環境に置かれていて、良い暮らしをしているが故に世界全体に対して寛大だったアメリカ人の心の根幹はゆらいでいないのか

     

  4. 豊かで強大になったが故に、世界中の人々から畏敬と畏怖を抱かれながら、しかし一方でそれ故に疎まれているアメリカ。イラクを初めとして外交が行き詰まる中で、世界における役割をいつか変えようとするのではないか

     

  5. しかしその一方で、マンハッタンのビルやコンドミニアム価格の急騰、米長期債に対する海外からの大量の資金流入に示されるこの国への信頼感の高さ。この国の魅力はいったいいつまで続くのか
 でした。アメリカ人も何が起こったのか、とこの週末はちょっと考えざるを得ないかもしれませんな。今回のニューヨークでは、結構面白い取材が出来るかも知れない。
06:15
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