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2017
05/08
Mon

マクロンが試されるのはこれから....だな

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 (05:30)私が少し早めに起きたときには、ネットには既に「マクロン勝利・ルペン敗北」の記事が山ほど載っていました。開票開始と同時にあふれ出たのでしょう。昨日の「いま世界は」でも言ったのですが、「今回のフランスの選挙ではどんでん返しはない」との見方が私のそれだったし、その通りになった。

 非常に印象的なのは、「今回のフランスの大統領選挙では、世論調査が常に非常に正確だった」ということです。最終的な得票率はマクロン66%、ルペン34%前後になりそうですが、これは事前の世論調査と非常に似ている。第一回投票での各候補の予想得票率も非常に最終数字に近かった。

 これは、アメリカやイギリスの世論調査結果の誤謬が大きかったのと対照的です。多分フランスでは「隠れルペン」はいなかった。皆正々堂々と最初から「私はこの人を支持する」と意見表明できていた、と思われる。それを世論調査機関は正確に拾った、ということ。

 つまりアングロサクソン諸国に比べてフランスは「建前」が弱かったとも言える。好き嫌いが素直に出せる社会だったと言っても良い。これは興味深い。アングロサクソンの社会に比較して、フランスでは極右から極左まで最初から幅広い政治勢力があり、それぞれ社会的居場所を見付けている。隠す必要がなかった、とも言える。

 しかしマクロン新大統領の行く手はなかなか難しい。ルペン34%は彼女と彼女の政党にとって非常にコアな支持層の割合に近いと思われる。ということはこの部分は熱烈な「反マクロン」となる。

 また経済のグローバル化に苦しめられていると感じる国民には、どう見てもエリートのマクロンは「弱者の気持ちが理解できない」「新自由主義的だ」と受け止められた面が残る。つまり国民の一定程度には「我々の大統領ではない」と拒否感も持たれているとも思われる。

 それでもフランス国民がマクロンを選んだのは、筆者には「結局ユーロという通貨を捨てる勇気がなかったからだ」と思える。移民問題などに関連してEU離脱の論争は盛り上がるが、ユーロを捨てられるかの議論になるとフランス国民の大部分は「それはノン」となる。

 イギリスがEUを離脱できたのは、そもそもユーロを使っていなかったからだ、というのが私の意見。イギリスはずっとスターリング(ポンド)を使っていた。今もそうだ。フランスがフランを再び自国通貨としたら、フランス国民の資産は劇的に目減りする。だからフランスのユーロ支持率は非常に高い。

 ルペンはこの点で矛盾に陥った。支持率をコアから広げようとしたらEUやユーロに融和的なことを言わざるを得ない。しかしそれをあまり言うとコアから「なんだ」と言われる。引き裂かれた故に、「国内ではフランを、国際貿易ではユーロを....」という奇妙な彼女の発想が生まれた。具体性は全くなし。結局その板挟みでルペンは沈んだ。

 しかしマクロンもルペンが指摘した「グローバリズムがフランスの庶民を貧しくした」という意見を完全否定できないでいる。そのために決選投票を前にして、「ルペンにもマクロンにもノン」という運動が起きた。その問題は残る。

 テレビでも言いましたが、私には「グローバリズムの修正」という問題が、別にフランスだけでなく世界の大きな問題として登場すると思う。フランスの政治という観点からは6月の議会選挙でマクロン率いる勢力がどの程度の議席を取れるかがポイントでしょう。

05:05
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