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2017
09/25
Mon

気になるな....クルドの投票

day by day
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 (21:15)結果は見えているが、投票が行われること自体が今後の中東情勢に大きな影響があると思う。投票とは、今日行われているイラク北部クルド族自治区の「独立」を問う住民投票。

 時差の関係でまだ投票は終わっていないと伝えられる。クルドはご存じの通り「国を持たない最大の民族」。トルコ、シリア、イラク、イランなどの山岳地帯国境をまたいで約3000万人が生活している。

 ペルシャ語系のクルド語を母語とし、大半がイスラム教スンニ派。しかし「国を持たない」ということで、結果的に各地で弾圧を受けてきた。うち約700万人が住むイラクでも少数民族として度々弾圧され、旧フセイン政権下の1988年には化学兵器で約5000人が殺害されたとも言われる。一貫して独立志向が強い。

 今回住民投票が行われているのは、クルド族の中でもイラク北部に住む人々。独立賛成多数が予想されるが、当然ながら即座に認められるわけではない。なぜならこの動きが、「中東地域全体の不安定化に繋がる恐れがある」と、イラク中央政府だけでなく、波及を恐れるトルコなど近隣国も反対。加えて米国も現時点での住民投票実施に反対を表明している。

 今までは一民族の強い願望に過ぎなかったが、今回の場合、同自治区のクルド人達が一気に住民投票に突き進んだのには理由がある。「自分達こそ対ISの戦いで国際社会の先頭に立って戦い、無法集団を敗北に追いやった」との自負があるからだ。

 イラク軍がスンニ、シーアの混成部隊で有効な戦いが出来ない中、対ISで戦果を上げたのは独立を念頭に置いたクルド人だ。よく組織され、アメリカから供与された武器で勇敢に戦ったと言われる。

 アメリカもそれは認めている。だからアメリカが求めているのは「今は中東の動乱の原因になりかねない」「なので投票の先延ばしをして欲しい」というスタンスだ。しかしクルド人達は「今がチャンス」「もう待てない」と実績作りに邁進している。

 現地からの報道によると、イラク全体は混乱の最中にあるが、同自治区は油田からの収入もあって、人々の生活水準はイラク地域より高く、治安も安定しているらしい。「我々には独立する意思も、経済力も、そして軍事力もある」というのが彼等の主張だ。

 しかしイラク北部にクルド人国家が生まれれば、トルコなど各地に住むクルド人の間にそれへの合流、さらなる独立の動きに繋がりかねない。その場合、中東はまた新たな火種を抱える。  目を欧州に転じると、「歴史も、経済力も、そして歴史・文化もあるのに独立を阻止されている」という思いは、スペインのカタルーニャ州にもある。サッカーや観光で有名なバルセロナを中心都市として抱える。

 私は一回した行ったことがないが、ガウディの建築物や公園があちこちにあって、「暫く滞在したい」と思う良い都市だ。地中海に面し、気候も良い。ここも伝統的に独立志向が強い。住民投票をめぐる問題はこれまでもくすぶってきたが、プチデモン州首相は6月に住民投票実施の意向を表明し、州議会は先に関連法を成立させた。

 その投票日が10月1日に迫ってきた。ラホイ首相率いる中央政府は「国を分裂させる」と住民投票に反対の姿勢で、憲法裁判所は一時差し止めを命じたし20日には治安警察がバルセロナの自治州政府庁舎などを家宅捜索し、州政府高官十数人を拘束した。

 加えて検察当局は投票に協力的な州内市町村の首長に出頭を要請しており、ラホイ首相側は投票をなんとしても阻止する構え。一方投票推進派の市民が大規模な抗議デモを展開している。予定された投票日10月1日まであと一週間ほど。

 私はほぼ毎日NHKBS1の午前8時からのワールドニュースを見るが、スペインのテレビのニュースには毎日カタルーニャ情勢が入る。というか「ほぼそれ一色」という印象。。世論調査では独立反対が支持を上回る。独立後のカタルーニャの先行きがEU加盟持続の可能性を含めて、今ひとつ不透明なためだ。しかし独立問題に決着をつけるために「合法的な投票の実施を望む」との有権者の声が7割超にも上っている。  さてこの二つの住民投票はどうなるのか。大きな関心をもって見つめている。

21:48
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