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2008
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2008年06月10日(火曜日) きな臭い

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 (22:59)取材を終えてちらっと為替の動きを見たら、ドル・円が107円台ですか。後で述べますが、ブッシュ発言やポールソンの為替介入も辞さないという発言を受けてドルが上昇している。まあその根っこは、今週の月曜日に書いたレポートで指摘しておいた「アメリカによる金融、さらには外交政策としてのインフレ抑制・ドル価値維持政策」にあるのですが。

 アメリカがインフレ抑制と、それとの関連でドル価値維持政策に舵を切ったことは、アラブ諸国との関係の中では理解できる。しかし今現在アジア、特に経済のある意味での危機が取りざたされているベトナムにいると、このままのドル価値の諸国通貨、特にアジア通貨への上昇は、これら諸国にとって非常に重荷になる、と思う。

 月曜日のホーチミン市の新聞「Saigon Times」の一面の見出しは、「PM Dung says Vietnum has no plan to devalue dong」でした。これは市場に根強くある「ドン切り下げ観測」を打ち消すためのものです。重要なのは、そういう観測が出ていると言うことです。彼がもっと言っていることで重要なのは、「ドンを完全フローティングにすることを検討したが、それはベトナム経済にとってプラスにならない」と結論した、ということ。ということは、実質的な切り下げを検討した事実はあると言うことです。首相は、ベトナムの対外収支の動き、それに経済自体は強い抵抗力を示している、と述べている。

 そして火曜日のハノイの新聞「THANHNIEN DAILY」の一面左の記事は、「IMF says it isn't in talks with Vietnum on loans」となっている。ベトナムがIMFからの借り入れ、それは起きうる対外収支危機(今年年初から5ヶ月は経常収支は10億ドルの黒。しかし貿易収支は赤基調)への対処でしょうが、を話し合っていることはない、という見出しです。ということは、市場に根強い観測があると言うことです。

 しかしそうした状況の中でのドル高。ベトナムは現在前日の基準値に対して、当該日のドンの上下幅を対ドルで1%に規制している。本来は2%なのだが、それを厳しく運用。しかしそれでも、最近はドル高・ドン安が止まらない。止まらないのは、株安と同じです。ドンが安くなれば、原材料価格が上がって対外収支が悪化する。一方の輸出は有利になるはずですが、輸出は世界的な景気悪化の影響を受けている。

 その一方でベトナムのインフレ率は凄まじい。昨年が12.6%、今年これまでは25%と言われている。加えての株安、そしてドン安。ベトナムに限らず、アジアの諸国はドルがあまり高くなると厳しいところが多い。中国がそうですが、インフレに対処して金利を上げれば、国内の経済活動が厳しくなる。また庶民の企業や政府に対する目は厳しくなっている。

 ちなみに上海の株式市場は7.7%も下げて、3072.33と大台割れ寸前まで来ている。預金準備率の1%引き上げという先週の発表がきっかけ。アジア株安を受けて東京の株も安い。

 備忘のために、アメリカのブッシュを初めとする当局者が何と言ったかをロンドンのTIMESの報道に見ておきます。

President Bush betrays fears over economy with strong dollar call

Gerard Baker and Tom Baldwin on board Air Force One

 President Bush issued a call for a rise in the value of the US dollar on currency markets yesterday in a signal of mounting official alarm in Washington about the effect of the slumping greenback on the world’s largest economy.

 In an exclusive interview with The Times on the eve of the United States-European Union summit in Slovenia, Mr Bush expressed concern about the dollar’s continuing weakness and said thathe favoured an appreciation in the US exchange rate.

 “We want the dollar to strengthen,” he said on Air Force One as it crossed the Atlantic bound for the summit.

 The President did not suggest that the United States was preparing to back its rhetoric on the dollar with any formal intervention in the exchange markets. He said that the “relative evaluations of economies will lead to that dollar strengthening”.

 Henry Paulson, the US Treasury Secretary, in an interview on American television yesterday,hinted at a growing inclination in Washington to prop up the dollar. Mr Paulson said that he “would never take intervention off the table”.The dollar rallied 1.3 per cent against the yen to Y106.23 amid hopes of intervention. The euro fell 1 per cent to $1.5626.

 ブッシュは明言しなかったが、ポールソンが「介入も否定しなかった」と。ここまで言うとは、月曜日の段階では私もあまり予想していなかった。アメリカの金融政策、為替政策が変わったことは指摘しましたが。金利が直ぐには上げられないとなると、まずは「talk up」ということなんでしょうが。

 まあ一言で言えば、世界の市場はちょっときな臭い

20:16
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