日々のライブな情報ページ

2014
11/23
Sun

はての島のまつりごと

day by day
EOF; } ?>

 (06:45)私の番組をやってくれていた頃は若手ディレクターで、その後他の番組を持つなどして成長し、そして「独立した映像作家に彼がなった」......だけではないんですよ。その彼の映画を見に行ったのは。やはり私自身がその島に去年行って、「この島は今後どうなるのだろう」と思ったからでもありました。

 その島とは、自衛隊受け入れか否かで揺れている日本最西端・与那国島で、2011年から3年間に渡ってこの問題、そして島の生活・人間模様を取材したのが土井鮎太君。彼の初めての監督作品が「はての島のまつりごと」でした。昨夜南大塚ホールで東京での初のお披露目があった。

 調べたら、私が与那国島に行ったのは去年の6月の中旬でした。その時の文章に「人口は1800人」と書いてある。しかし今日の土井君の映画を見ていたら盛んに「1500人」という数字が出てきた。「短期間に300人も減って......」とある出演者が言う。だからほんとに減ったんですよ。

 凄まじい過疎化です。その過疎化とどう戦うか。約150人の自衛隊員引き受けを主張するサイド(町長サイド)は、「それで少なくとも島の人口減少に歯止めがかかる」と主張する。しかし反対するサイドは、「自立」を叫び、自衛隊を入れるとトラブルに巻き込まれる、敵砲弾のターゲットになると主張する。

 昨年の文章にも書きました、島の人々は「今年間3万人の観光客が10万人になってくれれば」と言っていましたし、それを望む。しかし今のところその兆しはない。「じゃ、どうする」がこの島の抱える一番大きな問題です。映画の中で老人が呟く。「昔は人が一杯いた....」と。

 最後に自ら舞台に立った土井君も言っていた。「この映画を見終わると、自分もじりっとした、もやもやした気分になる」と。そうなんですよ。すっきりしない映画です。既に沖縄、能登などで上映会をやっているが、ある会場では土井君は「どっちなんだ。賛成か、反対か」と詰め寄られたというのです。

 しかしそれは、島を知れば知るほど難しい質問です。お互いがほとんど顔見知りの1500人。それが真っ二つに割れて喧々囂々、侃々諤々。時に反発し、時に疎ましく思う。しかし狭い島。仲良く暮らさねばならない。

 例えば仮に最終的に自衛隊の150人がくるとするじゃないですか。反対派の中には民宿をやったり、その他の商売をしている人も多い。自衛隊の家族の方が与那国に来たら、「私は反対だったから」と言って、宿泊を拒否するのか。それで自分が、そして街が反映するのか。

 島の総体としての人口は減ってはいるが、石垣島と同じで本土などなどからの移住者も結構来てはいる。この映画にも登場する。もともとの住民とこうした人々の間にも、やはり意識の違いはある。とっても複雑です。

 多くの方に見ていただきたい映画です。はっきり言って島の人達の言っていることはよく聞き取れない箇所もある。だって島の言葉は独特です。那覇の人も「分からない」と言っているらしい。しかし肝心なところは字幕もある。3年もの時間をかけた秀作だと思う。

 次の東京地方上演は、

 ▽11月24日(月) YMCAアジア青少年センター スペースYホール
  ※JR「水道橋駅」徒歩5分/JR「御茶ノ水駅」徒歩8分/地下鉄「神保町駅」徒歩7分
 ▽15:30上映(開場15:00)~ 18:00ころ
 ※入場料1,200円

 です。

06:03
EOF; } ?>
ページの先頭へ
twitter
伊藤洋一公式Twitterアカウント

サーチ


カテゴリー


最新の記事

カレンダー

キーワード