1998
06月

1998年06月の日記

日記

98年06月30日

 ホームページ仲間で制作していて7月下旬には出る予定の「本」の最終ゲラ校正作業を開始。本の制作もかなりの部分がデジタル化したものの、この「ゲラ校正」の部分は実物を前にしてやるのが普通。「スピードの経済」の時もそうでした。というのは、アナログには「一覧性」という重要な特質があるのです。コンピューターのスクリーンはスクロール機能が付いていることでも分かるとおり、一定の範囲しか表示できない。しかし、アナログには新聞をどこまで広げても一覧できるように、「一覧性」がある。

 本には最終的に形がありますから、その形の中で文章がどう配列されるか、図はどう入るかなどは実際の本の大きさの中で見る以外にない。できあがってきたゲラに赤ペンで訂正や追加を入れていくのです。大変だけれども、最終形を仕上げていく楽しい仕事でもあります。

 出版社の出版政策にも関わる問題なので、まだどの出版社から、どういう題名でというのは明らかに出来ませんが、出版時期は7月の下旬の予定です。公表できる段階になったら公表しますので、その節は是非本屋で手にとって下さい。もう出版記念パーティーを企画している奴もいる。
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 今週の月曜日のnews and analysis(pdf file)に筆者は以下のように書いた。

市場が評価したのは、「動き」が出たということだ。「動かない日本」はあまりにも有名になっているから、市場はむしろ日本の動きが出るとこれを大きく評価する。残された問題が大きいことを理由に、「まだダメだ」「これでも問題が多い」と論評するのは、人間の作る社会を理想化しすぎている。市場の動きを見れば、何が歓迎されていて、何が歓迎されていないか分かる。今は動かないことが評価されない。市場は、「一歩でも前進すること」を評価する。
 この文章を書いている時点(1日早朝)で、円相場は137円台に急騰している。30日の東京市場の株価も大幅高を記録した。正直言って、住友信託銀行の長期信用銀行合併交渉にしても、政府が行っている各種の金融市場安定化策にしろ、不透明なことは多いし、色々な問題は残っている。理想形から見れば、「こんなことで大丈夫か」と思う。しかし目を凝らせば、「これまでとは多少違った景色の日本」に驚愕している市場を発見することが出来る。もっと良くするためにも、「まだダメだ」と言い続ける必要性は認める。しかし、理想からまだ遠いからと言って世の中が変わっていない、進歩していないと考えるのは、市場や相場を判断する上で大きな間違いを犯す原因になる。生物である人間の世の中を理想化し過ぎてはいけない。

 ただし、市場は「動き始めた日本」が動き続けることを前提に相場展開をしている。だからまだ shaky だと思う。今悲観的な連中が楽観的になったときに、もう一度調整する気がする。株も為替も。だから、一筋縄ではない相場は面白い。

98年06月29日

 ふと気づくと、毎朝ワールド・カップの試合結果を見るのを楽しみにしている自分を発見する。日本が負けたからと言って、ワールド・カップが終わったわけではない。日本で我々が寝ている間に、結構良い試合が行われていて、それを朝見るのが楽しみなのです。そのためにしばしば、早起きする。ドイツはしぶとい。ベテラン中心の選手構成だそうだが、2−0で負けている試合を引き分けに持ち込んだり、0−1で負けていたメキシコとの試合を逆転して2−1で勝ってみたり。国の代表が戦っているわけで、民族性が出たりする。また、その国のチームの戦略性も見える。

 個性あるチームと言われたナイジュリアが負けたのはちょっと寂しい気がしますが、まだまだ面白い試合がいっぱいある。いつもは朝日新聞のW杯サイトを見ているのですが、数日前にオフィシャル・サイトを発見した。http://www.france98.com/にあって、私の場合は英語で見るのですが、ここでは3分ごとに文字によって試合経過を知らせてくれる。Ongoing な試合はシロで点滅していて、そこをクリックすれば良いのです。このサイトには、膨大な量のデータも揃っていて、写真も多く、日本が戦った3試合の写真も残っている。ファンには一見の価値があるサイトでしょう。

 どこに優勝して欲しいということはない。おやおや、これを書いている間に前半も押し迫ってオランダが38分に対ユーゴで一点を入れたようだ。ゴールしたのは、ベルカンプ「run of play」とある。なんだこれは。試合経過を知らせるサイトは、サッカー英語の勉強になる。分からない単語も色々ある。まあ、良い試合を見たいだけですが、あえて言えばイギリスに勝たせたい気がする。フランスーイタリアも凄い試合になりそうだ。2002年は世界からどんな連中が来て、国内がどうなるか楽しみですな。日本の景気も相当今とは違っているでしょう。それにしても、長野オリンピックのオフィシャル・サイトもそうだったが、なぜか国際的なスポーツ・イベントのサイトは、ブルーを基調としたものになっている。すっきりしていて良いのですが。
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 ははは、ユーゴが indirect kick で1点返したようだ。うーん、これは「間接キック」いうやつか。(^_^)(^_^)いかん、こんなところで中継をしていても仕方がない。ワールド・カップで今までに出たゴールの数は、オランダーユーゴ戦が1−1の段階で143点だそうです。そうか、我が日本チームは1/143だったわけか。どう考えても、少ない。ひょっとして全出場チームの中で一番少ないかもしれない。ワールド・カップはあと10試合だというから、全部で200点くらい入りそう。ははは、どこかのテレビ局が「ワールド・カップ全200得点」とかいって特集しそうですね。

 しかしこのオフィシャル・サイトはなぜだか「script error」が頻発する。「ok」すると良いのですが、なぜでしょうねこれは。

98年06月28日

 暑い一日でしたね。午後から久しぶりに少しからだを動かそうと思って、新宿の日テレ・ゴルフ・ガーデンに行ったのですが、なんとなんと全く空いている。やはり、影響でしょうかね。景気悪化でも業種によってその影響は違うんでしょうが、芝刈りはかなり調子が落ちている。しかし、技術革新は続いているようで、「Fat Shaft」というウィルソンの新しいクラブの試打会をしていました。シャフトが太いのです。それでねじれが少ないという宣伝になっている。そして、targetting がうまくいくと。少し打ってみました。ちょっと違和感がある。かつ、フェースがシャープさに欠ける。重くはありません。これまでヘッドはかなり改善が進んでいて、シャフトは遅れていましたからそこそこ売れるかもしれない。
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 タイから弟が帰国したので、土曜日に久しぶりに一族で食事会を新宿の三笠会館でやりました。彼がインドネシアから帰ってきたときも、ここでした。彼は今度はベトナムに行くという。土地の造成をするのだそうです。あいつも忙しい。ベトナムは行っても良いと思っています。彼がセトルしたころ、行こうと....。

 ところで、新宿の三笠会館と南青山と西麻布のアクア・パッツァをこのコーナーに入れました。どちらも、好きなレストランです。先週のいつだったか後者の南青山店に会社の同僚達と行きましたが、引き続き印象が良かった。ははは、20数人のお客がいて男性は小生と我々のグループのもう一人、それにあと一人の3人。圧倒的に女性に人気のあるレストランです。三笠会館は、引き続き「魚介スープ」と「ペペロンチーニ」が美味しかった。
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 久しぶりに横田さんのおっしゃる方が、「スピードの経済の読後感」を送ってくれました。横田さん、tks。「ソフトウェア技術者」の方だそうです。

 「スピードの経済」にもあるとおり、米国における経済の活況は、結局、脱工 業化社会から、世界で始めての情報化社会に到達したことによるものであると考 えています。おそらく、流動性の高い労働市場の仕組みのため、労働代替的な形 での情報技術の活用につながり、情報技術分野の好況が、新しい雇用を生み出す 形で高成長と失業率の低下をもたらしたのでしょう。

 今の日本の経済雑誌をみると、米国における情報技術の活用を、とても未来的 で、よその出来事的感覚でとらえている様子を感じますが、そのようなことでは、 日本の将来は暗いと感じざるをえません。(中略)

 私はソフトウェア技術者なのでそう思うのかも知れませんが、財務会計分野で の時価主義により、資産、負債が変動相場制のような様相を呈してくると、コン ピュータがなければ、損益計算書や貸借対照表さえ作れなくなってきそうな気配 です。また、そうすることにより、経営シミュレーションをおこなわなければ、 意思決定もできなくなるでしょう。ビッグバンで大企業でも雇用安定を過信でき ないと不安を感じながらも、パソコンを使わずにすまそうというレベルの悩みで すむうちは、日本のビジネス界も、まだまだぬるま湯につかっている感覚が抜け きれていないのでしょう。

 賛成ですね、この考え方には。横田さんには、私がもっとも最近書いた「Foresight」用の原稿をお読みいただくことにしました。

98年06月27日

 今週の木曜日だったと思ったのですが、尾道の石井さんから久しぶりにメールをもらいました。2年ほど前でしょうか、出張して尾道で講演した時以来のお付き合いで、メールの内容は

  1. サイト用に独自サーバーを立ち上げた
  2. 安保商店の安保さんなどと「 Eぃ友ネット」というMLを立ち上げた
  3. ところで、伊藤さんを中心にメーリング・リストを経済関係で作らないか
 という誘い。

 ネットを通じたお付き合いの形にはいろいろあります。

  1. サイト運営者とそこを訪れる人間とのメール授受やオフ会やプライベートの会合を通じた付き合い
  2. BBSやメーリング・リスト(ML)、NIFTYの PATIOを通じた一つ「型」を通したメール、情報交換
  3. オフ会を大規模にした定例会合の開催−−など
 私の場合サイト運営者ですから、最初のは自然とやっている。これだけでも、一日のメール量はかなりに及ぶ。「オフ会」といったって、知り合ったのがネットを通じてというだけで普通の知り合いと同じで、気楽にメシを食うという感じ。お互いにサイト運営者の場合は、「最近どうしている....」という会話が必要ない点が違うだけ。BBSやML、それにPATIOにもそれぞれ少数入っているのですが、興味深い話があれば参加するが、あとはたまに見て読み流すという怠慢な態度。ほかにいっぱいやりたいことがあるし、一日中メールを打っているのもちょっとという感じがする。そうでなくても、文章は毎日結構な量を書いていますから。

 オフ会を大規模にした定例会合という意味では、私の場合は全日本鍋物研究会とやっている忘年鍋会でしょうか。この種の会合については、manageable な範囲でもう少し回数を増やしても良いかなと考えたことはある。しかし、ほとんど毎日のくらいに何かの会合がある、または企画している身では、大きな会合っていうのはなかなか気骨が折れることなのです。メシは4人くらいでがやがや食べるのが一番良い。しかし、既に2年間サイトを運営してきている中で、ちーと何かマンネリな気分がしないでもない。ネットの運営が役立たないということではなく、凄く役立つという前提の上で言うならばです。
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 そこで考えるわけです。しかし、BBSは全く運営する気がしない。管理しきれないことは目に見えている。MLとPATIOについては、考える余地がある。しかしやっぱし、自分では怠慢な男だと思うので、管理者は向いていない。大規模なメシ会は、うーん、年に1〜2回で十分な気がする。本当は、今までになかったようなスキームはないか、と考えているのです。サイトをもうちょっと発展させたような形で、合目的的な。2年も同じ事をやったら、そろそろ考えるべき時でしょう。

 で石井さんには、「とりあえず Eぃ友ネットに参加させてください」と申し出て、参加した。メンバーが送られてきましたが、尾道中心ですがなかなか多彩な方々が揃っている。今までになかったような視点で議論に参加できるのではないかと楽しみです。今まで小生が入っているMLは、日経産業のそれだけで、これも初期に参加しただけで最近は見させて頂くだけ。というのも、発言メンバーが固定、かつ高頻度になっていて、時々参加するというのでは会話がかみ合わないのです。噛み合わせようと思ったら、チェック頻度を多くしなければならないのですが、そうするとそれに取られる時間が一日の中で多くなりすぎてしまう。これはちょっと遠慮したい。

 ということで、「伊藤ML」はペンディングにしました。仮にこれを作ったら、このサイトに書いている以上の面白い発信は結構できる気がする。しかし、例え作ったとしてもあまり規模は大きくしたくないとも思っています。

98年06月26日

 「 More to come 」

 ははは、いろいろありますね。「住友信託、長銀を救済合併」のNHKニュースが流れた午後2時頃からメールも、電話も急増。ディーリング・ルームは騒然。市場も大きく動いた。マーケットを見ているものとして一つ感じたことは、一つ一つの問題に形が付いていくことが、いかに市場の安定、安心感の醸成になるか、ということです。午後が始まった時点では、今週のこの地合を引き継いで週末に突入するのか....という不安感が強かった。だから日本の株、債券、為替市場は全部非常にナーバスだった。しかし、経営難の銀行の行方に少なくとも形、目処が見えた段階から市場は急速に安定した。株は反発し、長期国債は買われ、円も上昇。一つ一つの問題に形を与え、解決をトライしていくことの重要性がはっきり示されたと言える。

 「動く」ということは良いことです。そこから、チャンスとそしてリスクが生まれる。いっぱい問題はありますが、今日の東京の金融市場の動きは「造有理」(造語です)であることを示している。日本の金融市場が置かれた環境からすれば、この程度の銀行合併は「one of them 」になるでしょう。「more to come」ということです。まだまだ続く。どう考えても。それは良い悪いの問題ではなく、経済の大きな流れです。分かったことは、今の日本の金融市場では、いつどこで他社の知り合いと同じ会社になるか分からない....というダイナミズムです。

 海外の評価も、おおむね好評のようです。ウォール・ストリート・ジャーナルは深夜見たネット版でこのニュースを二番目に扱い、以下のように書いている。

Analysts praised the idea of a merger as a signal that Japan will allow market forces to weed out weaker banks. They say that is what Japan needs to bolster its overall financial system.

"We should be looking at this as good news because it shows how the Japanese bank bailout will likely proceed,'' said Pelham Smithers, strategist at the Tokyo office of ING Baring Securities.

A Sumitomo-LTCB marriage would create Japan's second-biggest bank and one of the world's 10 largest in terms of revenues.

 つまり、日本における銀行救済の型が見えたということのようです。しかし、肝心なのは出来る銀行がどのようにして市場で viable な存在として成長するのか、という点です。何を柱に、お客さんに何を提供して。何を儲けの柱とするか。世界中の銀行にとって、当たり前ですがこの問題が一番大きい。

 これまで合併した銀行には、友達が結構いる。口を揃えて言うのは、実務レベルでは「それは地獄だ」ということ。それはそうでしょう。例えば書類の作り方一つ、送金その他事務に関する用語の一つ一つが微妙に違う。そういうのを合わせることからすべてが始まる。もっと大きいのはコンピューター・システムの位相合わせです。個々の銀行員にとっては、新しい会社で自分の位置取りがどうなるかも大きな問題。合併に関わる山のような実務的な問題を片づけているうちに、市場環境が大きく変わって戦略の変更を迫られる時もあるでしょう。合併のごたごたの中でそれについていけるかも大きな問題。だから合併は、いつでも大きな賭けだと思う。

 それにしても、報道を総合するとすこぶる hastely arranged な印象がする。長銀サイドから住信サイドに正式に話があったのは、今週の初めのようです。そこから話が始まっている。体質的に似ているとか、融資先に同じネームがあるとか、いろいろな事情はあったのでしょうが、多分それは「あれよ、あれよの動き」だったのでしょう。市場環境がそれを余儀なくさせたということです。

 もう一度言いましょう。「more to come」。会社は大きくなる。同期の中で、誰は部長までなり、誰が役員になるか、などと悠長に言っていられない時代ということです。知らないうちに、年次も分からない仲間がどしどし増える時代が直ぐそこまで来ている。去る人も増えるでしょう。自分の位置取りを自分で決めていく時代です。まあこうやって日本人も「変化慣れ」していくんでしょうね。

98年06月25日

 珍しいところで、珍しい蕎麦を食べました。霞ヶ関。霞ヶ関ビルの道を挟んだ反対側に三井ビルがあるのをご存じ。そうです、商船三井船舶が入っているビルです。そこに山形県の物産を陳列したコーナーがある。名前は忘れましたが、県がやっている事業の一環でしょう。そのコーナーの一角に、山形の蕎麦を食べさせてくれる一角がある。山形駅の近くにある蕎麦屋さんの東京の店。コーナーの中のコーナーですから、小さい。そうですねテーブルが全部で八つくらい。だから30人も入れば一杯になる。

 ちょっと変わった蕎麦なのです。山形県の人に言わせれば、「これが蕎麦」と言うかもしれませんが。まず、太い。手打ちですからばらつきがあるのは当然ですが、一つ一つが腰があって強いのです。次に多い。「板」と名前の付くせいろのでかいやつで、結構な量になる。東京の有名な蕎麦屋では、一枚では絶対おなかがいっぱいになることがないのと対象的に、ここで「大板」を食べると、おなかがいっぱいになる。小生は小さな「せいろ」(冷たい)と「なめこ蕎麦」(温かい)を頼んだのですが、ここを教えてくれたk君が「伊藤さん、そりゃ多いですよ....」。都内の有名な蕎麦屋では、これは普通の頼み方ですが。

 それで、本当に多かった。とにかく都内の蕎麦屋で食べる蕎麦とは、ひと味違うのです。人気があるようで、我々はかなり早い時間(11時過ぎ)にオフィスを出て11時20分には席に着いていたのですが、これが正解。直ぐに席が埋まった。近くの人は、ピークを外して行ってみると良いと思います。値段もリーゾナブルです。
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 今朝の日経にちょっと出ていましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルの「Microsoft Pitches Windows 98 In Different Ways to Two Markets」という記事を読みながら、「うーん、結局 Windows98 の正式版は多分買わないことになるだろうな」と思いました。テスト版は持っていますが、それを入れた印象はあまりよくなかったし、どうもこのシリーズはマイクロソフトの将来像には入ってもいそうにないのです。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事には、

"This is the last release of Windows 98," says Jim Allchin, Microsoft's senior vice president in charge of development of all Windows operating systems and Mr. Mehdi's boss. "NT is the platform for the next millennium.'
 という表現まである。どういうことかというと、マイクロソフトは「95」「98」と来た数字シリーズは今回を最後とするらしい。MS-DOS の軛からOSを開放して、より近代的な NT システムを主流とするための措置。つまり NT を「the platform for the next millennium」にしようというわけです。

 で Windows NT 5.0 はいつ発売されるか。来年の1〜3月だそうです。もう直ぐじゃないですか。いずれはシリーズが終了する製品を買っても仕方がない。正直言って、今の Windows95 と NT4.0 の組み合わせで家のコンピューターをしばらく使っても何ら問題はない、と思うわけです。

 もっともこれは、消費者よりも同社およびコンピューター・メーカーにメリットが大きそうだ。マイクロソフトにとっては NT の卸売り販売価格は約105ドルで、これは Windows95、Windows98 の約倍。NT が売れれば売れるほど、マイクロソフトはもうかる仕組み。今年の出荷見通しは、Windows95、Windows98の約8700万コピーに対して、NT は1200万コピー。この切り替えは大きい。

 同社のみならず、NT の普及はハード・メーカーにも恩恵が多いという。推奨メモリーは 128メガバイト(95-98 シリーズはせいぜい32)、推奨ハードディスク容量は400 メガヘルツ。大体今の4倍である。こんな製品が普通の消費者に売れるのか。多分、マイクロソフトは low-end の NT を一般消費者用に売らざるを得なくなる、と専門家は見ている。それでも、要求されるハード容量は大きくなる。

 で出てくる問題は、ユーザーとしてそんな大きなマシーンが必要か、です。これはじっくり考えれば良い。Windows98 が出ても半年は買うつもりはなかったので、まあ来年春のNT5.0 が出てからその後の自分の OS を考えても良いかなと思うわけです。

98年06月24日

 久しぶりに気になるパソコン(ラップトップ)が出てきました。シャープから出たMebius PJ。今までシャープのパソコンというのは性能は良いがめちゃ重い、という印象だった。しかし、このマシンは相当軽そうだ。実際には見たこともないので、もし使っている人、買った人がいたら情報下さい。 出張の多い身には、「軽いパソコン」は何よりの贈り物なんです。本体が軽いだけじゃなく、Ac Adaptor とかそういう付属品も合わせた重さが重要。つまり、出張の時鞄に入れなければならない一連のものの総量。

 多分私が今使っている SONY の VAIO (705)はどうしても携帯しなければならない部品やその他資料を含めると4キロくらいする。腕の運動になる....ではすまされない重さ。早くこの問題から開放されたいのです。「705」を持っているから、「505」を買うのには抵抗がある。また一つの会社の製品を連続して買うのも良くないと思う。だからちょっとこのシャープの新製品には関心があるのです。
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 止まれば上がるドル。それはそうでしょう。円が上げるには、「上げ続け」なければならない。つまりキャピタル・ゲインが必要なのです。円はほとんどインカム・ゲインを生まない。債券の利回りを見れば良い。その債券も先行き不安感が強まっている。電力株など利回りが2%台に乗っている銘柄もある。しかし、相対的に見れば日本には投資機会が乏しい。だから、ドル・円は止まればドルを買いたい誘惑が強まる。円が上がるのは、円が上げ続けている時だけなのです。

 黙っていれば上がるドルを落とすには、要所要所で介入したりドルに弱い材料が出なければならない。しかし既にドル株は再びしっかりしてきている。当局も日本の金融再建プロジェクトがしっかりと動き出すまでは為替市場を眺めながら眠れない日が続くだろう。これを書いている時点で、ドル・円は141円台。

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 TBSブリタニカから手紙が来た。「アステイオン休刊のお知らせ」とある。創刊は1986年だったそうです。「初期の目的を一応達成した」との判断から、今年9月の秋号(通巻50号)をもって休刊。「今後は国内外の優れた論文を中心とする国際論壇誌として再スタートする方向で、現在検討中」とのことです。目処は来年春だという。再スタートというわけです。楽しみです、どう生まれ変わるか。

 なくなる雑誌もあれば、出る本もある。friendsのコーナーに登場している河野君と、これも小生の友人である林君がポール・クルーグマンの論文を翻訳した「通貨政策の経済学」が東洋経済から出版された。「米国の通貨政策を読み解く鍵がここにある !」という売り文句が帯に出ている。厚さの割には活字が大きく読みやすい。通貨問題に興味ある人には是非お奨めの本です。

98年06月23日

 、眠そうな奴が来ましたよ。ALEX BRUMMER と名乗る。「THE GUARDIAN FINANCIAL EDITOR」と名刺には書いてある。なぜ眠いか。日本時間の早朝に、イングランドはワールド・カップで対戦をしていた。どこでしたっけ。対ルーマニア ?。そして負けた。それを見ていて眠いと。使う言葉が汚かった。自分のチームに対して、「stupid」「STUPID」と繰り返す。むろん、インタビューが終わってからですが。

 しかし、私もそうですが「岡田ジャパン」が破れても、「ばか」とか「あほ」とかいう人はあまりいない。ちょっとした民族性の違いですかね。彼らは仲間だから庇おうなんて、全くそのそぶりもない。そういえば、アメリカに居るときニューヨークの汚いところを通ると、日本人なら海外の人にあまり見せたくない連中がいたり場所があっても、あいつら平気でしたな。「こんなばかな奴らもいる」「きたない所だったある」てな具合で。日本人はどちらかと「隠せ通せば」と思う。人が来るとなると、急に部屋を綺麗にする。うーん、他の事でもそうか ???? でも、日本も新宿の HOMELESS など隠しようがなく負の部分が拡大している。まあ、いますよ。そういう人も。

 それにしても、アメリカの英語に慣れている身には、イギリスの英語はちょっと聞き難いところがある。いつも聞いているブルーンバーグの英語もアメリカンですから。インタビューの中味は、数日前に掲載したとおりで、私の前は日経の小島 明さんだったらしい。どんな形で載るのか ? 気持ちが通じたかどうか ?
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 インタビューから帰ってくると韓国の姜さんから電話で、「やっと伊藤さんの、news and analysisが読めるようになりました」と電話。自分では出来ないので、詳しい部下にやってもらったのだそうです。日本語が処理できるソフトを入れ、アドビを入れたのでしょう。今までもたまにはファックスで送っていたのですが、「インターネットでなら、どこでも見れまっせ」と言ったら、それなりきに努力したらしい。まあ、韓国の市場環境などは姜さんから教わっていますから、こういう互恵的な関係は歓迎ですね。

 円安は韓国を含めたアジアには打撃にはならない、という論調も最近は見られる。しかし、少なくとも姜さんの円に関する関心の強さ、円高を望む気持ちを見ていると、アジアの連中が心から円安を警戒しているのが分かる。
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 K君から面白いページを紹介してもらいました。http://www5.yomiuri.co.jp/stream/です。なぜかネットスケープでは起動しなかったのですが、internet explorer で起動して、 real audio の5.0でこのページは楽しめる。日本のページで音や映像を楽しめるページは少なかったので、ちょっと面白い。

98年06月22日

 カクテルに「Blue Monday」というのがあるのをご存じ。ウォッカ・ベースでもの凄く強い。記憶では、90%の純。しかし、そうは見えない。色も綺麗なのです。飲むと、「強い」とはあまり感じない。しかし、男でもしばしば足を取られる。二杯も飲んだら、大変なことになる。色は、本当にブルーをしている。店によってこの色は違うのですが、深みのあるブルーを出せる店ほど、年季の入ったバーテンさんがいる、と思って間違いない。

 で、私が言いたかったのは、今日は本当に「Blue Monday」でしたねということ。雨は降る、市場にはろくな話はない。小生が知っている何人かの人も、「月曜日は麻雀もしない、酒も飲まない......」と言う人が多い。私はこれまでずっとこの意見には「午前中は賛成、午後は反対」の気分でしたが、今日は「午後も賛成」でした。夜も雨が降るのは目に見えていた。だから、今週は明日からですな....という気分。

 実は今日は TBS の緊急番組に引っぱり出されて、午後9時から10時までラジオに出ていましたが、実はそれを聞きながらこれを書いています。というのも、この番組は夕方収録したため。でも、自分が出た番組を聞き直す、見直すというのは「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と反省ばかりが多い(^_^)(^_^)。まあ、文章もそうですが。だからといって、「ブルー」なわけではないのですが。

 で、早々に退場しようとしているのですが、今度機会があたったら本当にこの「Blue Monday」を試して下さい。読者の皆さんも。ただし、飲み過ぎて足を取られないように.....
 

98年06月21日

 日本は、「時間とのかけっこ」をいやいやながら始めたようだ。「不良債権処理」「景気対策」。国内政治も、企業内政治も「内側」しか見ていなかったら、外にも利害関係者が一杯いて、「どうするんだ」「どうするんだ」と問いつめられている状況。なさけないとも思うものの、そんな状況でしか世の中は動かないという気もする。

 今回のアジア・G7蔵相代理会議を仕組んだのは榊原・大蔵省財務官だと言われるが、仮にこの会議が「国内政治を動かすために」しくまれたとしたら、なかなかのアイデアだと思う。この会議の決定事項は、政治中のマスコミの報道され、世界中の政治家がこれにコメントしている。これで何もできなかったら、日本の政治は世界の笑いものだ。日本の「恥の文化」が生きてくる可能性もある。

 企業は企業で、「市場との対話」を真剣にやらざるを得なくなっている。週末の間も、長銀さんの先行きを巡って多くの報道がなされた。私が知っている限りでも、日債銀と第一勧業銀行がネームされていた。どう決着するかは不明ですが、日本における金融の再編は今後も続くことは間違いない。
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 そう、日本人も少し「変化慣れ」した方が良いと思う。我々もマスコミも、まだ頭の中で「変化のない時代」を理想にしているところがある。しかし、生物の進化をみたって一度として地球上で変化が止まったことはない。いつでもどこでも少しずつ変化が起きているから、地球上にはこんなに多くの生命と種が生まれた。まあ、人間もその一種というわけです。大きく言えば、宇宙に生まれた存在は、「変化」を余儀なくされていると言える。

 古いネームがなくなったりするのは寂しいけれど、逆に何かが生まれているわけで、楽しいじゃないですか。5年後がどうなっているかなどと考えるのは、見えないだけに楽しい。まあきっと、融通無碍な会社や個人はしっかり繁栄を謳歌しているんでしょうし、一人一人の人間に許される可能性は広がっているでしょう。

 よく「昔は良かった」という人がいる。当たり前だ。我々が見る「昔の人々」とは、英雄だったり、貴族だったり、将軍だったりする。華々しいのは当たり前だ。ローマは「市民」中心の都市国家だったと言われる。しかし、「市民」と同数くらいの奴隷がいただろう。100年後の人類が我々を見たら、「何と不自由な連中が多かったのか」と思うに違いない。
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 ははは、また明日から新しい一週間が始まります。どんなことが起きてくれるのか、楽しみですな.....。

98年06月20日

 ものを書いたり、しゃべったりしていると、誰かが必ず見ていたり聞いていたりしているものです。先週と同様に金曜日の朝 TBS の「森本毅郎スタンバイ」で「ゲスト解説」をしてオフィスに出社したら、最初の電話が住友不動産の辻常務さんからで、「伊藤さん、今日は聞いてました」と。7月に行うちょっとした講演の打ち合わせに関する電話でしたが、「そうか、偉い人ほど車の中でラジオを通勤時間帯に聞いているんだ」と。朝のラジオは、車と切っても切れない関係にある。それはそうと、森本さんが「メール・アドレス」を取得していたのにはびっくり。そちらにはまったく興味のない人だと思っていましたから。早速冷やかしでメールを送りましたが、返事はまだですな。

 フォーリン・プレス・センターのために書いたfriendsのコーナー掲載の英語論文については、英ガーディアンの Financial Editorである Alex Brummerという人の為に彼の日本でのスケジュールを調整している人(松村さん)に見つかっていたようです。来週の火曜日にお会いすることになりましたが、ガーディアンにいつか小生のネームで話が載ったら、あああの時の流れの中での話かとロンドン在住の方は納得下さい。彼らは面白いですね、取材に当たって何に関心を持っているかをちゃんとファックスにして送ってくる。彼の関心は、

  1. Japan's financial problems and difficulties in the banking organization and the fall in the yen and the Japanese stock market.
  2. A look at how the problems in the japanese economy have affected ordinary Japanese. The effect on consumption and spending patterns and how the country is coping with unemployment for the first time.
 とのこと。英語がすんなり出てくるかしらん。最近一番聞いている英語は、ブルーンバーグのインターネット・ラジオの英語ですが。これは語彙が少ない。

 新潮社の「Foresight」に書いた論文「日本再生計画」シリーズの一本は、公私ともの大先輩である「山本 一郎」さん(同姓同名が多い名前です)に見つかってしまいました。「チンギス・ハーンの一族の馬」の例えがいい....と。この人は、ギャンブル(またはその分析)の神様(最近新潮社から「カジノ」を出版)で、昔からよく麻雀をやったのです。今度機会を見つけてラスベガスに一緒に行こうと言う話になっている。お嬢さんがテレビ局の特派員でニューヨークに行くらしい。いいですねえ、ニューヨーク。そろそろ小生も行きたくなりました。今週末は、ある経済誌用の原稿を一本書きます。
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 最近読んだ新聞の記事で一番印象に残ったのは、19日の朝日新聞の「論壇」に掲載された『「ドイツ人論」を捨てたドイツ社会』です。杉本良夫という独ハイデルベルク大学の客員教授の方が書いた論文で、この論文を読んで独経済が徐々に回復軌道を辿り始めたこと、ダイムラー・ベンツがなぜクライスラーと合併したのかが分かった。インターナショナライゼーションへの独の並々ならぬ決意が見れる。

 寿司や蕎麦を食べて、「日本人の味覚を持っていて良かった」と思うことはある。しかし、経済の面で「ここは日本だから、〜〜のことができない」とかの議論を聞くと、筆者はいつも「そうだろうか」と思ってしまう。日本という国はそれほど特殊か、と。株式市場から聞こえてくるメッセージは明確です。「日本という裃」を脱ぐ(合併・提携)意志を固めた企業の株価が高い。単独でも、特殊論を捨てて世界で生きる覚悟を決めている企業が強い。たぶん、個人も同じでしょう。文化は強い経済に宿る。強い経済を失えば、日本人特殊論者が持ち出す文化も死ぬ。
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 良い天気でしたね。しかも、暑かった。それとは関係ないのですが、映画を見ました。「ジャッカル」。うーん、見たい人は見たら、という感じ。リチャード・ギアも歳を取った。「ヤンクス」の時の彼が今でも印象的でした。ハリウッドも、発想が枯渇してきている。ジャッカルがサバイブするストーリーにした方が面白かったかもしれない。ブルース・ウィルスのファンはこの映画を見てがっかりするでしょう。作りが粗雑な印象がした。

 それにしても、今夜もだめ。速く日本チームのゴールがみたい。

98年06月19日

 ずっと気になっていたので、今日昼に出かけた知り合いの寿司屋さんに、「寿司屋さんの業界の数字の数え方」を教えてもらいました。「そんなの覚えてどうするんだ」って。ウーン、どうにもしません。でも、無駄なことを覚えるっていうのは、これはこれで楽しいんです。彼曰く、「店によって違いますよ....」。それはそうでしょう。でも、最初の三つくらいはどこでも同じ様な、何回も聞いたような気がする。  

  1. ピン
  2. リャン
  3. ゲタ
  4. ダリ
  5. メノジ
  6. ロンギ
  7. セイナン
  8. バンド
  9. キワ
  10. ソク
 これらの数字に「大」が付いたら、それは万の単位、「小」は千の単位。お坊さんの数の数え方は、以下の通りでした。 
  1. 大無人
  2. 天無人
  3. 王無中
  4. 罪無非
  5. 吾無口
  6. 交無人
  7. 切無刀
  8. 貝無目
  9. 鳩無鳥
  10. 早無日
 重い diary が続くと、体内のバランス感覚がむくむくと起きて、「ちょっと軽くしたら」と呼びかけてきます。で、今日は軽く。まあ、今週末から来週初めにかけて、新聞の大きな見出しになるようなニュースがいっぱい出るでしょう。

98年06月18日

 冗談で言っていたことですが、ついに地球の反対側からも聞こえてきました。「this」とはサマーズの訪日、「there」は日本、「Larry」はサマーズのことです。

"When we heard about this, we were not sure if they were sending Larry over there for just a day or two or if they were spiriting him off for good. Lending Larry Summers to Japan's Finance Ministry to spend some time ... might not be such a bad idea. They could use some outside help over there."
 ちょっと意訳すると、「え、ラリーが日本に。一日二日かい、それとも長期 ? 日本の大蔵省にサマーズを貸すってのは、悪いアイデアじゃないね。必要だろうから....」

 いろいろな記事を読んでいて、一つ気が付いたことがある。日本の危機は「指導力の危機」だという認識が一般化しつつあるということである。「水曜日の介入は、クリントン政権として日本政府はアメリカの助けなしに、金融市場の信任を取り戻すことは無理との判断に立ったことを示している」との解説もあった。

 U.S., Asian and European officials fret that leaders of the world's second-largest economy are either in denial or paralyzed by a dysfunctional political system.
  という表現も。日本の「a dysfunctional political system」の中で呻吟している橋本首相も気の毒と言えば、気の毒だ。しかし、ここは一つソロスと年初に会った金大中・韓国大統領のように芝居を打ったらどうだろう。

 昨日、参議院選挙と霞ヶ関の人事異動を控えて身動きがとれないこの時期、日本の先行きのポイントは、橋本首相だと指摘した。その橋本首相は、今日声明を出したが、とても「芝居」にはならなかったようだ。海外のマスコミでは評判が悪いか、「ただ単なるリップサービスか見守る必要がある」との見方が強い。それはそうだ。内容は、一見したところ今までの声明の繰り返しに過ぎない。

 アメリカのルービンが「介入しない」のスタンスを変えたのは火曜日の夜で、最終的にはその後の橋本ークリントンの電話会談で水曜日の介入が決まったと言う。とすると、声明にも触れなかったものの、首脳同士の会談で橋本首相は公には言えない何かをアメリカに約束しているかもしれない。アメリカもむしろ「中国の影」に怯えて動いた形跡が強いから、あまり期待しない方が賢明だろうが。
 ――――――――――
 キーワードも、マジック・ナンバーも出てきている。キーワードは「reverse-reverse-Plaza Accord」。プラザ合意は1985年、逆プラザ合意は1996年、そして今回が逆逆というわけです。マジック・ナンバーは「140」。ドル・円がこの水準以下だったら、「中国は元の切り下げを行わない」としている水準。20日の蔵相代理会議は、白熱したものになりそうですが、それにしても最後の所は日本政府が経済の再建に何をするか。その意味で蔵相代理会議は、日本政府に「行動の口実」を与えるかもしれない。

98年06月23日

 、眠そうな奴が来ましたよ。ALEX BRUMMER と名乗る。「THE GUARDIAN FINANCIAL EDITOR」と名刺には書いてある。なぜ眠いか。日本時間の早朝に、イングランドはワールド・カップで対戦をしていた。どこでしたっけ。対ルーマニア ?。そして負けた。それを見ていて眠いと。使う言葉が汚かった。自分のチームに対して、「stupid」「STUPID」と繰り返す。むろん、インタビューが終わってからですが。

 しかし、私もそうですが「岡田ジャパン」が破れても、「ばか」とか「あほ」とかいう人はあまりいない。ちょっとした民族性の違いですかね。彼らは仲間だから庇おうなんて、全くそのそぶりもない。そういえば、アメリカに居るときニューヨークの汚いところを通ると、日本人なら海外の人にあまり見せたくない連中がいたり場所があっても、あいつら平気でしたな。「こんなばかな奴らもいる」「きたない所だったある」てな具合で。日本人はどちらかと「隠せ通せば」と思う。人が来るとなると、急に部屋を綺麗にする。うーん、他の事でもそうか ???? でも、日本も新宿の HOMELESS など隠しようがなく負の部分が拡大している。まあ、いますよ。そういう人も。

 それにしても、アメリカの英語に慣れている身には、イギリスの英語はちょっと聞き難いところがある。いつも聞いているブルーンバーグの英語もアメリカンですから。インタビューの中味は、数日前に掲載したとおりで、私の前は日経の小島 明さんだったらしい。どんな形で載るのか ? 気持ちが通じたかどうか ?
 ――――――――――
 インタビューから帰ってくると韓国の姜さんから電話で、「やっと伊藤さんの、news and analysisが読めるようになりました」と電話。自分では出来ないので、詳しい部下にやってもらったのだそうです。日本語が処理できるソフトを入れ、アドビを入れたのでしょう。今までもたまにはファックスで送っていたのですが、「インターネットでなら、どこでも見れまっせ」と言ったら、それなりきに努力したらしい。まあ、韓国の市場環境などは姜さんから教わっていますから、こういう互恵的な関係は歓迎ですね。

 円安は韓国を含めたアジアには打撃にはならない、という論調も最近は見られる。しかし、少なくとも姜さんの円に関する関心の強さ、円高を望む気持ちを見ていると、アジアの連中が心から円安を警戒しているのが分かる。
 ――――――――――
 K君から面白いページを紹介してもらいました。http://www5.yomiuri.co.jp/stream/です。なぜかネットスケープでは起動しなかったのですが、internet explorer で起動して、 real audio の5.0でこのページは楽しめる。日本のページで音や映像を楽しめるページは少なかったので、ちょっと面白い。

98年06月22日

 カクテルに「Blue Monday」というのがあるのをご存じ。ウォッカ・ベースでもの凄く強い。記憶では、90%の純。しかし、そうは見えない。色も綺麗なのです。飲むと、「強い」とはあまり感じない。しかし、男でもしばしば足を取られる。二杯も飲んだら、大変なことになる。色は、本当にブルーをしている。店によってこの色は違うのですが、深みのあるブルーを出せる店ほど、年季の入ったバーテンさんがいる、と思って間違いない。

 で、私が言いたかったのは、今日は本当に「Blue Monday」でしたねということ。雨は降る、市場にはろくな話はない。小生が知っている何人かの人も、「月曜日は麻雀もしない、酒も飲まない......」と言う人が多い。私はこれまでずっとこの意見には「午前中は賛成、午後は反対」の気分でしたが、今日は「午後も賛成」でした。夜も雨が降るのは目に見えていた。だから、今週は明日からですな....という気分。

 実は今日は TBS の緊急番組に引っぱり出されて、午後9時から10時までラジオに出ていましたが、実はそれを聞きながらこれを書いています。というのも、この番組は夕方収録したため。でも、自分が出た番組を聞き直す、見直すというのは「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と反省ばかりが多い(^_^)(^_^)。まあ、文章もそうですが。だからといって、「ブルー」なわけではないのですが。

 で、早々に退場しようとしているのですが、今度機会があたったら本当にこの「Blue Monday」を試して下さい。読者の皆さんも。ただし、飲み過ぎて足を取られないように.....
 

98年06月21日

 日本は、「時間とのかけっこ」をいやいやながら始めたようだ。「不良債権処理」「景気対策」。国内政治も、企業内政治も「内側」しか見ていなかったら、外にも利害関係者が一杯いて、「どうするんだ」「どうするんだ」と問いつめられている状況。なさけないとも思うものの、そんな状況でしか世の中は動かないという気もする。

 今回のアジア・G7蔵相代理会議を仕組んだのは榊原・大蔵省財務官だと言われるが、仮にこの会議が「国内政治を動かすために」しくまれたとしたら、なかなかのアイデアだと思う。この会議の決定事項は、政治中のマスコミの報道され、世界中の政治家がこれにコメントしている。これで何もできなかったら、日本の政治は世界の笑いものだ。日本の「恥の文化」が生きてくる可能性もある。

 企業は企業で、「市場との対話」を真剣にやらざるを得なくなっている。週末の間も、長銀さんの先行きを巡って多くの報道がなされた。私が知っている限りでも、日債銀と第一勧業銀行がネームされていた。どう決着するかは不明ですが、日本における金融の再編は今後も続くことは間違いない。
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 そう、日本人も少し「変化慣れ」した方が良いと思う。我々もマスコミも、まだ頭の中で「変化のない時代」を理想にしているところがある。しかし、生物の進化をみたって一度として地球上で変化が止まったことはない。いつでもどこでも少しずつ変化が起きているから、地球上にはこんなに多くの生命と種が生まれた。まあ、人間もその一種というわけです。大きく言えば、宇宙に生まれた存在は、「変化」を余儀なくされていると言える。

 古いネームがなくなったりするのは寂しいけれど、逆に何かが生まれているわけで、楽しいじゃないですか。5年後がどうなっているかなどと考えるのは、見えないだけに楽しい。まあきっと、融通無碍な会社や個人はしっかり繁栄を謳歌しているんでしょうし、一人一人の人間に許される可能性は広がっているでしょう。

 よく「昔は良かった」という人がいる。当たり前だ。我々が見る「昔の人々」とは、英雄だったり、貴族だったり、将軍だったりする。華々しいのは当たり前だ。ローマは「市民」中心の都市国家だったと言われる。しかし、「市民」と同数くらいの奴隷がいただろう。100年後の人類が我々を見たら、「何と不自由な連中が多かったのか」と思うに違いない。
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 ははは、また明日から新しい一週間が始まります。どんなことが起きてくれるのか、楽しみですな.....。

98年06月20日

 ものを書いたり、しゃべったりしていると、誰かが必ず見ていたり聞いていたりしているものです。先週と同様に金曜日の朝 TBS の「森本毅郎スタンバイ」で「ゲスト解説」をしてオフィスに出社したら、最初の電話が住友不動産の辻常務さんからで、「伊藤さん、今日は聞いてました」と。7月に行うちょっとした講演の打ち合わせに関する電話でしたが、「そうか、偉い人ほど車の中でラジオを通勤時間帯に聞いているんだ」と。朝のラジオは、車と切っても切れない関係にある。それはそうと、森本さんが「メール・アドレス」を取得していたのにはびっくり。そちらにはまったく興味のない人だと思っていましたから。早速冷やかしでメールを送りましたが、返事はまだですな。

 フォーリン・プレス・センターのために書いたfriendsのコーナー掲載の英語論文については、英ガーディアンの Financial Editorである Alex Brummerという人の為に彼の日本でのスケジュールを調整している人(松村さん)に見つかっていたようです。来週の火曜日にお会いすることになりましたが、ガーディアンにいつか小生のネームで話が載ったら、あああの時の流れの中での話かとロンドン在住の方は納得下さい。彼らは面白いですね、取材に当たって何に関心を持っているかをちゃんとファックスにして送ってくる。彼の関心は、

  1. Japan's financial problems and difficulties in the banking organization and the fall in the yen and the Japanese stock market.
  2. A look at how the problems in the japanese economy have affected ordinary Japanese. The effect on consumption and spending patterns and how the country is coping with unemployment for the first time.
 とのこと。英語がすんなり出てくるかしらん。最近一番聞いている英語は、ブルーンバーグのインターネット・ラジオの英語ですが。これは語彙が少ない。

 新潮社の「Foresight」に書いた論文「日本再生計画」シリーズの一本は、公私ともの大先輩である「山本 一郎」さん(同姓同名が多い名前です)に見つかってしまいました。「チンギス・ハーンの一族の馬」の例えがいい....と。この人は、ギャンブル(またはその分析)の神様(最近新潮社から「カジノ」を出版)で、昔からよく麻雀をやったのです。今度機会を見つけてラスベガスに一緒に行こうと言う話になっている。お嬢さんがテレビ局の特派員でニューヨークに行くらしい。いいですねえ、ニューヨーク。そろそろ小生も行きたくなりました。今週末は、ある経済誌用の原稿を一本書きます。
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 最近読んだ新聞の記事で一番印象に残ったのは、19日の朝日新聞の「論壇」に掲載された『「ドイツ人論」を捨てたドイツ社会』です。杉本良夫という独ハイデルベルク大学の客員教授の方が書いた論文で、この論文を読んで独経済が徐々に回復軌道を辿り始めたこと、ダイムラー・ベンツがなぜクライスラーと合併したのかが分かった。インターナショナライゼーションへの独の並々ならぬ決意が見れる。

 寿司や蕎麦を食べて、「日本人の味覚を持っていて良かった」と思うことはある。しかし、経済の面で「ここは日本だから、〜〜のことができない」とかの議論を聞くと、筆者はいつも「そうだろうか」と思ってしまう。日本という国はそれほど特殊か、と。株式市場から聞こえてくるメッセージは明確です。「日本という裃」を脱ぐ(合併・提携)意志を固めた企業の株価が高い。単独でも、特殊論を捨てて世界で生きる覚悟を決めている企業が強い。たぶん、個人も同じでしょう。文化は強い経済に宿る。強い経済を失えば、日本人特殊論者が持ち出す文化も死ぬ。
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 良い天気でしたね。しかも、暑かった。それとは関係ないのですが、映画を見ました。「ジャッカル」。うーん、見たい人は見たら、という感じ。リチャード・ギアも歳を取った。「ヤンクス」の時の彼が今でも印象的でした。ハリウッドも、発想が枯渇してきている。ジャッカルがサバイブするストーリーにした方が面白かったかもしれない。ブルース・ウィルスのファンはこの映画を見てがっかりするでしょう。作りが粗雑な印象がした。

 それにしても、今夜もだめ。速く日本チームのゴールがみたい。

98年06月19日

 ずっと気になっていたので、今日昼に出かけた知り合いの寿司屋さんに、「寿司屋さんの業界の数字の数え方」を教えてもらいました。「そんなの覚えてどうするんだ」って。ウーン、どうにもしません。でも、無駄なことを覚えるっていうのは、これはこれで楽しいんです。彼曰く、「店によって違いますよ....」。それはそうでしょう。でも、最初の三つくらいはどこでも同じ様な、何回も聞いたような気がする。  

  1. ピン
  2. リャン
  3. ゲタ
  4. ダリ
  5. メノジ
  6. ロンギ
  7. セイナン
  8. バンド
  9. キワ
  10. ソク
 これらの数字に「大」が付いたら、それは万の単位、「小」は千の単位。お坊さんの数の数え方は、以下の通りでした。 
  1. 大無人
  2. 天無人
  3. 王無中
  4. 罪無非
  5. 吾無口
  6. 交無人
  7. 切無刀
  8. 貝無目
  9. 鳩無鳥
  10. 早無日
 重い diary が続くと、体内のバランス感覚がむくむくと起きて、「ちょっと軽くしたら」と呼びかけてきます。で、今日は軽く。まあ、今週末から来週初めにかけて、新聞の大きな見出しになるようなニュースがいっぱい出るでしょう。

98年06月18日

 冗談で言っていたことですが、ついに地球の反対側からも聞こえてきました。「this」とはサマーズの訪日、「there」は日本、「Larry」はサマーズのことです。

"When we heard about this, we were not sure if they were sending Larry over there for just a day or two or if they were spiriting him off for good. Lending Larry Summers to Japan's Finance Ministry to spend some time ... might not be such a bad idea. They could use some outside help over there."
 ちょっと意訳すると、「え、ラリーが日本に。一日二日かい、それとも長期 ? 日本の大蔵省にサマーズを貸すってのは、悪いアイデアじゃないね。必要だろうから....」

 いろいろな記事を読んでいて、一つ気が付いたことがある。日本の危機は「指導力の危機」だという認識が一般化しつつあるということである。「水曜日の介入は、クリントン政権として日本政府はアメリカの助けなしに、金融市場の信任を取り戻すことは無理との判断に立ったことを示している」との解説もあった。

 U.S., Asian and European officials fret that leaders of the world's second-largest economy are either in denial or paralyzed by a dysfunctional political system.
  という表現も。日本の「a dysfunctional political system」の中で呻吟している橋本首相も気の毒と言えば、気の毒だ。しかし、ここは一つソロスと年初に会った金大中・韓国大統領のように芝居を打ったらどうだろう。

 昨日、参議院選挙と霞ヶ関の人事異動を控えて身動きがとれないこの時期、日本の先行きのポイントは、橋本首相だと指摘した。その橋本首相は、今日声明を出したが、とても「芝居」にはならなかったようだ。海外のマスコミでは評判が悪いか、「ただ単なるリップサービスか見守る必要がある」との見方が強い。それはそうだ。内容は、一見したところ今までの声明の繰り返しに過ぎない。

 アメリカのルービンが「介入しない」のスタンスを変えたのは火曜日の夜で、最終的にはその後の橋本ークリントンの電話会談で水曜日の介入が決まったと言う。とすると、声明にも触れなかったものの、首脳同士の会談で橋本首相は公には言えない何かをアメリカに約束しているかもしれない。アメリカもむしろ「中国の影」に怯えて動いた形跡が強いから、あまり期待しない方が賢明だろうが。
 ――――――――――
 キーワードも、マジック・ナンバーも出てきている。キーワードは「reverse-reverse-Plaza Accord」。プラザ合意は1985年、逆プラザ合意は1996年、そして今回が逆逆というわけです。マジック・ナンバーは「140」。ドル・円がこの水準以下だったら、「中国は元の切り下げを行わない」としている水準。20日の蔵相代理会議は、白熱したものになりそうですが、それにしても最後の所は日本政府が経済の再建に何をするか。その意味で蔵相代理会議は、日本政府に「行動の口実」を与えるかもしれない。

98年06月17日

 「little to do but worry」(15日のウォール・ストリート・ジャーナル)だったアメリカが95年の8月以来初めて、「"The New York Federal Reserve Bank is operating in the exchange markets on behalf of U.S. monetary authorities," a U.S. Treasury spokesman said.」と公に認める形で、外国為替市場に介入した。株式で見ると、水曜日一日でのその効果は日本ではなく(日経平均は0.03%の低下)アジア各地で出ていて、主なところでは Hong Kong(Hang Seng 8004.35 + 6.35%)、India(Bombay Sensex 3400.95 + 7.59%)、Indonesia(JSX Index 419.442 + 4.99%)、Malaysia(KLSE Composite 450.88 + 3.45% )、Singapore(STII 1107.70 + 5.60%)、S. Korea(Korea Composite 303.81 + 8.50%)、Thailand (SET 272.94 + 6.02%)などとなっている。下げたのはフィリピンなどごく一部。

 円高への転換は、日本にとってよりもアジアの各地で歓迎されたことになる。なぜなら、円高にしたところで日本の抱える経済問題の「解決」はほど遠いのに対して、アジア各地の経済にとって円高は各国通貨一段安懸念の後退など直ちに恩恵があるため。ニューヨークや欧州の株価が上昇したのも、「アジアの安定は世界経済の安定」という図式が描けるからだ。ということは、今後日本が再び世界における「culprit」(被告)と言われないようにするための時間は、極めて限られたことになる。円のレベルと世界の株価の水準が直結してしまったその結果は、日本の一つ一つの行いが世界の株価水準を決めてしまう形になるからだ。アジアや世界の株が再び下げるような事態になれば、日本という国の「政策遂行能力」に対する信任が根底から揺さぶられることになる。その結果は、今までよりは悪質な円安、株安になる可能性が強い。
 ――――――――――
 松永蔵相は、介入の直後に英語に翻訳された声明文では(世界に発した声明ですから、英語で見ます)、

 "Recognizing that restructuring and revitalization of the Japanese economy are urgently needed, the government of Japan will take all necessary steps to restore its banking system to health, to achieve domestic demand-led growth, and to open and deregulate its markets," Mr. Matsunaga said.
 と述べている。ナイス、そして beautiful。しかし問題が一つある。世界が「ねずみの時間」で動いているのに、日本はどう見ても「象の時間」でしか動かない、動けないということだ。ついさっき読んだウォール・ストリート・ジャーナルには次のように書いてあった。
 How have the nation's leaders responded? Politicians plan to take off much of the next month to prepare for a July 12 election -- one that will decide if the ruling Liberal Democratic Party can win a majority in the all-but-powerless upper house of parliament, but not much else. And Finance Ministry officials are jockeying for position in a scheduled personnel rotation.
 政治空白を生む参議院選挙と、霞ヶ関の人事異動。少なくとも国会と霞ヶ関ではしばらく「象の時間」は続きそうだ。とすれば、もうこれはトップ(政策運営の最高責任者である首相)が機敏な動きを見せて、世界に「日本もねずみの時間」で動いてます、と証明するしかない。懸念はここにある。橋本首相は、それが分かっているのだろうか。選挙が始まれば、自民党では首相交代論は後退する。だから、橋本首相その人が目覚める以外にないのだが.....。あの人の性格は一朝一夕には変わりそうもない。

 日本が円相場の是正でアメリカ初め諸外国の力を借りたと言うことは、松永蔵相が言う日本経済の再構築・再活性化のための具体的措置(金融部門の健全化、内需主導の成長、市場の開放と規制緩和)を目に見える形で早急にしなければならないことを意味する。さもなければ、外国為替市場では「動かない日本」を嫌気して、再び国内に投資機会のない円を売り、ドルなどを買う動きが強まるからである。

 多分、日本の政治家達の今回の協調介入に対する感想は、「そりゃそうだろう。アメリカも日本を見限れないだろう」といったものだろう。しかしこうした、「show of power」(力の誇示)は、百害あって一利なしである。そこには、慢心しかない。こういう記述もある。

  Government officials and economists around the world are increasingly worried that Japan's accumulated financial and economic problems are pushing it to the brink of a depression, one replete with deflation, bank runs and tremendous unemployment. But such concerns remain almost inaudible in Japan itself, where affluence and relative isolation from the global economy have long allowed its leaders to argue that things really aren't so bad.
 どう見ても、まるで日本の組織のチャンピオンのように、日本の政治は「内向き」である。政治家の大部分は、冗談ではなく「冠婚葬祭」出席に忙しい日々を送っている。選挙が接近すればなおさらだ。「冠婚葬祭」に忙しい人間の目が、「世界」に向くわけがないし斬新な発想を持つとも思えない。だから私は正直、肉親以外の冠婚葬祭への政治家の出席禁止を法律にすべきだと思う。あまりにも時間を取られ過ぎている。国民も国民だ、と思う。あの政治家は自分の家の「冠婚葬祭」を大事にしてくれたからとか、目先の利益誘導に協力したからと選ぶか、そうでなければ「無関心」になる。ワールドカップは67%の人が見たのに、衆議院選挙の投票率は50%を割った。

 今回の協調介入が永続的な効果を外国為替市場に及ぼすと考えるには、そうでない場合よりも想像力を必要とする。「日本政府が予想外に機敏な措置をとり....」「アメリカ経済に陰りが見えてきて....」「介入しても、日本の外貨準備があまり減らずに...」「ムーディーも格付け引き下げを見送り...」などなど。選挙と霞ヶ関の人事異動で、「今までにもう日本はこれだけやりましたから、その効果を待って...」というスタンスが日本政府から出てくるのを想像するのは、極めて容易である。

 と考えていくと、世界が円相場の水準を保持するために支払う税金は巨額に上りそうだ。サマーズは、そのコストを軽減するために来る。さて、どんな話し合いがもたれるか。そして、政治家連中や霞ヶ関は聞く耳を持っているのかどうか。

98年06月16日

 (^_^)(^_^)この24時間程度のチャートを見ても、円の動きは凄まじい。たぶん、けが人が大勢出ているでしょう。介入があったかどうかなど、少し詳しく調べる必要がありますが、円安のペースが異常に速かったことも事実。ここ当面の円の安値を148円に直したばかりでしたから、別に拘泥はしないのですが、「ちょっと余裕ができた」とは思ってます。
 ――――――――――
 二つの発言に注目しました。日本社会の従来の慣行から見れば、二つともかなり思い切った発言であり、たぶんこうした思い切った発言が徐々に変化をもたらしていくのでしょう。期待も込めて。

「円安は世界の怒り」と転法輪経済同友会副代表幹事

 「円安は、約束を実行しない日本への、外国の怒りの現れだ」――16日の経済同友会定例会見で、転法輪奏副代表幹事(大阪商船三井船舶会長)が、激しい口調で、橋本内閣の無策ぶりを批判。早急な金融業界の建て直しなど5つの経済対策の実行を政府に求めた。

 転法輪氏は為替相場について、「国内では行き過ぎだとの見方が多いが、外国はそうは見ていない」と述べ、「外国は1年前から、日本に内需拡大を求め、内閣は実行を約束していた。しかし、いま日本の景気を支えているのは輸出だけだ」として、内需拡大の失敗が円安を招いたとの見方を示した。

 その上で、いま日本がやるべきこととして、(1)不良銀行をつぶすことを含めて金融業界を建て直す(2)恒久的な制度減税で消費を刺激する(3)公務員の数を半減する行政改革の徹底で減税財源を捻出する(4)規制緩和を徹底して高度付加価値産業を創出する(5)住宅ローン金利を全額、全期間にわたって所得控除するなど住宅減税徹底する、ことを提案した。

 
日銀総裁が不良債権処理の加速求める談話発表

 日本銀行の速水優総裁は16日の記者会見で、金融機関に不良債権の情報開示の範囲を広げるとともに、処理を加速させることを求める異例の 総裁談話を発表した。金融機関が今年3月期決算から発表し始めた米国並みの基準にとどまらず、銀行の「自己査定」の結果である「分類債権」も積極的に公表するのを促したもので、日本経済の先行き不安の根元となっている不良債権問題の影を、徹底した情報開示と一段の処理で払拭したいとの狙いと見られる。しかし、自己査定結果の公表は一層の貸し渋りにつながるなどとして、銀行業界や大蔵省の反発も強く、議論を呼ぶのは必至だ。 速水総裁は「バブルがはじけてからすでに7年がたつのに不良貸し出しが多く残っているのは他国と比べて恥ずべき事態だ」と述べ、帳簿上引当のすんだ債権についても、最終的な処理をすすめ、新しく貸出に向けられる資金を生み出すことが必要なことを指摘した。

 転法輪奏副代表幹事の言っている「やるべきこと」には大賛成。一つ、雇用の流動化とそれに対処するシステム、法律の整備を加えねばならないと思う。「恒久減税」しても、雇用に不安が残る間は、人々の消費は伸びない。

 しかし小生などは逆説的に、この変化の激しい時代に消費者や勤労者は支出を押さえて「身を竦めるだけで良いのか」という気がする。学ぶべき事はたくさんあり、見るべきモノも多い。自分で考えて、するべき支出はしなければいけない時代だと思う。ただ身を竦めるだけで乗り切りれる変化だと思ったら、それは大間違いで、日本人が「ただ身を竦めているだけではダメ」と気づいたときに、景気は上向きになるような気がする。不安は、変化を味方にする中でしか乗り越えられない。今の日本人はまだ個人のレベルでも、変化を嫌悪・回避しようとしている。あえて休暇中の行く先を「台湾」に選んだのにも、そういう臍曲がりの気持ちがある。人間、動けば必ず収穫はある、と思う。

98年06月15日

 今日読んだウォール・ストリート・ジャーナルの記事に、「Japan's Reluctance to Alter Policies Gives U.S. Little to Do but Worry」というのがあって、その書き出しは

By BOB DAVIS and JACOB M. SCHLESINGER Staff Reporters of THE WALL STREET JOURNAL

 WASHINGTON -- The Clinton administration's economic policy toward Asia is stumbling over the same obstacle it regularly does: a Japan reluctant or unwilling to change.

 だ。この「 a Japan reluctant or unwilling to change」というのは最近海外の記事を読んでいると、よく出てくる表現である。そしてもう一つ出てくる単語は、「culprit」だ。これは「罪人」「被告」という意味で、「アジア危機の犯罪者は日本」という使い方。「円安持続→日本の経済的苦境継続→アジアの経済危機の深化」というもので、こうした中で「アジアの経済危機→ニューヨークの株価への影響」が鮮明になってきている。週明けのニューヨークの株価は、大幅安でのスタート。

 「日本=culprit」との見方が徐々に浸透してきていると思うのは、たとえば中国は「円安」を放置している日米を非難し始めたし、香港の董建華行政長官もオーストラリアで「円安是正」を訴えだした。周辺環境から推測すれば、明らかに中国は「元の切り下げ」の事態を念頭に置いて発言をし始めている。当面は否定していてもである。そしてその時の責任を、「日本やアメリカ」にしたいのである。赤字国の通貨安は論理的必然性がある。しかし、黒字国の通貨安はどこかで政策が歪んでいる証拠だ。
 ――――――――――
 私が知っている限り、国民一人一人の中には「変わらねば」という気持ちがあるのに、日本が容易に変わりそうもないし、世界からも「 a Japan reluctant or unwilling to change」と呼ばれるのは何故か。二つの事態が考えられる。

 第一は、実は(日本では)変わりたくない人が多い。
 第二は、(変化の道筋をつける)方法や政治で実際に形にする仕方が分からない。

 第一だとしたら、国民の総意を政治は反映するものだから、日本の政治は日本人のものであるとは言える。むろん、これも環境の変化で変わってくる可能性が強いし、政治は時に国民を先導する意味合いを持つことも確かだろう。世界における立場も、今では大きな要素だ。第二だとしたら、それは直ちに政治の問題である。国民の気持ちと政治との間のパイプに問題があるということだろう。

 熊本での補欠選挙の結果が、どちらを反映したものかは不明である。しかし、国民が結果的に現政権の支持者を支持したと言うことは、少なくとも「野党」よりは与党の方を「自分達に役立つ」と考えたと言うことだろう。「野党」はもはや批判だけでは戦えない。具体的な政策を打ち出し、投票者一人一人を自らに投票させる気持ちにさせねばならない。それが出来ていないから、票は自民党に流れる。野党に力がないこと自体が問題である。政治に「緊張感」がない。緊張感のある「政策論争」のなかからしか、「緊張感のある政策」は生まれない。「culprit」などと呼ばれるのは、やはり外交政策としても賢明ではない。

 「本当の改革は、保守にしかできない」という立場に立てば、従来の政策にすべて行き詰まったのちに、自民党が大変身して日本の方向を大きく変える可能性はわずかながら残っている。しかし、それには相当な時間がかかりそうだし、パーソナリティーの変化も必要だろう。それまでに、「 a Japan reluctant or unwilling to change」とか「culprit」としての日本のイメージは、世界で強固なものになるだろう。うーん、あれこれ考えるが、まだ日本が迷走から脱出する兆しはない。だから、まだ金融市場も迷走を続けるだろう。

98年06月14日

 はっきり言ってサッカーについては高校生の時に少しやっただけで「特別なファン」であるとは言えないのですが、それでも「万が一勝つかも」と見ました。勝たなかったという点、点が入らなかったという点では、やはりがっかりしましたが、後半などは結構互角で戦っていたように思う。だから、あと2試合のうち、一試合くらいは勝てるかもしれないとも思います。岡田という人は、あれで結構ついている人のように思う。素人目で一言わせてもらえれば、「攻撃の詰め」が甘い感じがする。

 ワールド・カップも真っ正面から楽しんでいる方ではないのですが、世界の多くの人がこうして同じ競技に一喜一憂するのは非常に良いことだと思う。このイベントが生み出している人々のエネルギーは凄まじいものだし、経済活動というのはこういうある種の熱気の結果だと思う。日本も80年代は、何をするにも熱気があった。良い悪いの問題は別にして。今のアメリカもそうでしょう。消費も熱気の中で盛り上がる。

 人間がただ生きていくために必要な極めてベーシックな消費しかしなくなったときの世界を考えれば、恐ろしい。人間は宗教的行事から祭りまで、名目を見つけては消費の嵩上げをしてきた。これは、非常に重要なことです。ワールド・カップのためにいったいどのくらいのお金が使われるかは知らないが、ないときの世界に比べて遙かに世界は華やかになっている。残りの試合も、それなりきに楽しめる気がする。
 ――――――――――
 土曜日でしたが、珍しく病院に行きました。小平市にある「昭和病院」に。友人の弁護士である増沢君が狭心症で先週末から入院しているため。彼とは高校・大学が同じで、大学が封鎖されているときには一緒に法律の勉強をしたこともある。今でもいろいろとお世話になっている。親戚から電話をもらったときにはびっくりしましたが、病院で顔を見たら元気そうで、安心した。

 彼によれば症状は以下のようだったようです。

  1. 先々週の週末仕事がらみのゴルフを軽井沢でした。しかし、最後の3ホールほどは心臓が非常に苦しくなった。プレーを止めようと思ったが、お客さんもいるので続けた
  2. その後の宴会で(ー。ー)yー゚゚゚を吸ったが、ちっともおいしくない。また、少し体を動かすと、疲れが来る
  3. 月、火は非常に疲れやすく、いつもの距離を歩いても二倍は時間がかかり、いつもは抜かれない女性にまで抜かれる。時々苦しくなって、鞄の上で休んだ
  4. 水曜日にいよいよ朝苦しくなって医者に来た......
 と続く。聞いていて、まあよくそんな状態になるまで医者に行かなかったものだと思ったのですが、彼によればこれまでもしばしばそういう状況があったという。だから今回も...と思ったらしい。もともと血圧は低いものの、血糖値が非常に高く、お父さんもそうで遺伝的な要素もあったのではないかという。

 私の周りには、「心臓」や「血管」に問題を抱えている人が結構いる。30代で乖離性動脈留で死んだ若手もいた。そうした体験から言うと、こうした病気には必ず「前兆」がある。心臓が痛かったり、息切れがしたり、疲れやすくなったり。重要なのは、こうした「前兆」をしっかり掴むこと、そして遠慮なく会社を休んで精密検査を受けることです。

98年06月13日

 「ラップトップ、アダプタなければただの箱」

 金曜日の深夜でした。帰宅してメール・チェックと思って NT と VAIO の二つの電源をオンにして、ついでにニューヨークの市場をチェックしたりしていたら、「バシ」と変な音。VAIOの AC アダプターが置いてある辺でしたのです。「う、何かおかしい」と思いながらも、新潮社用の原稿のゲラ訂正を急がされていたので、その時は電源を落としたのです。しかし、しかし、土曜日の朝に再びオンにした時には気がつきました。 AC バッテリーをつないであるのに、VAIO のバッテリーランプがついている。電気が行っていない証拠です。さわってみたらアダプターが冷たい。not working というわけです。

 まず思ったのは、「出張中でなくて良かった」というもの。だってそうでしょう。出張の初期にラップトップの AC アダプターがいかれたら、それからほぼ2時間でラップトップはただの役立たずの重い箱になり、「武器」どころか出張中にはえらい「荷物」になる。これが先週後半の台湾で起きたら、あたしゃパニックになっていたでしょうね。よかった。

 この VAIO は確か去年の7月ごろ買ったやつだから、一年以内の保償期間内。秋葉原の電気屋に電話して、代替を直ぐに手配する用意をしました。来週も出張があって、VAIOを遊ばせておくわけにはいかないのです。VAIOの705はもう生産していないのですが、その後継機種用の AC バッテリー「PCG AC71」というのが705にも使えるらしい。

 AC アダプターの故障は珍しいかって。ちっとも。VAIO の前身の小生のラップトップであるコンパック・ラップトップ(410cx)の AC バッテリーもいかれたことがある。そう、ラップトップ・パソコンの意外な弱点は AC アダプターなのです。だから本当はAC バッテリーは二つもっていた方が良い。一つは家、一つは会社のように。しかし、ラップトップ付き出張に、AC バッテリーを二つ持っていく奴を小生は知らない。自分に対して、「keeping my fingers crossed」、「幸運を祈るのみ」というわけです。
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 久しぶりにfriendsのコーナーに新しい論文をアップしました。自分の。フォーリン・プレス・センターに頼まれて、在日外国人特派員用に「日本版ビッグバン」に関する少し長めの文章を書いていたのです。それが英訳されて帰ってきた。なるべく多くの海外の方に読んで欲しいので、ここに掲載します。HTMLとPDF の両方で掲載しておきました。

 この friends は96年6月にこのサイトを立ち上げた時からのコーナーですが、ははは、有名人が排出するようになってきています。河野君はその時は大和投資顧問にいましたが、今は第一生命経済研究所に行ってそのそのサイトの重要なコントリビューターになっている。最近は東洋経済の「論争」にも頻繁に登場します。白塚さんは今はシカゴですが、その安定した経済分析では各方面で定評があって、近々大論文が本になる。長田、藪中両氏も楽しみな若手エコノミストです。ここに登場する若手エコノミストのうち、少なくとも二人は自分のサイトを持ったことになる。

98年06月12日

 日本の今年1-3月実質GDP成長率が、年率でマイナス5.3%になり、「この数字で日本のリセッション入りが確認された」との認識から、円が売られた。その円の売られを見て、韓国の株式相場は一日で8.1%も下落。そして台頭してきたのは、「アジア、リセッション入り説」である。何の新聞だか忘れたが、以下のように書いてあった。

 In dismal succession over the last two weeks, Hong Kong, Malaysia, and Indonesia confirmed that their economies shrank in the first quarter of 1998, and were likely to keep contracting for the rest of the year. Japan, South Korea and Thailand are also in retreat, and even those that have managed to keep growing -- Taiwan, the Philippines, Singapore and China -- are slowing to a crawl.

 The Asian financial crisis appears to be mutating into the most serious region-wide recession since the end of World War II.

 「アジアの金融危機は、第二次世界大戦終了後でもっとも深刻な同地域全体のリセッションに進みつつある」という下りには、なかなか迫力がある。しかし、クルーグマンではないが、「そうだろうか」という気もする。この週末にその辺のところを考えたい。
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 ニューヨーク・タイムズを読んでいたら、一つ面白い記事があった。それは、株、商品を含めてアメリカと欧州の取引所の会員権相場が急落しているというのである。年初の高い水準に比べると、最高40%程度も下がっているという。欧米に付いて言えば、各取引所とも出来高は高い水準を維持しているのに、そうなっているという。

 取引所の合併の動き(取引所の数の減少)、最近における株価や商品相場の軟化傾向などが、会員権相場の軟化の一因になっている可能性があるという。しかしもっと大きな要因と考えられるのは、在来型の「open cry」に対する「electric trading」の急増傾向だという。1987年のブラックマンデーの際にはニューヨーク証券取引所の会員権相場は50%下がったが、こうした株価(商品相場)の大きな下げがなくて、会員権相場が大きく下がるのは過去に例がないという。

 LIFFEの会長であるウィッグルスワースは、

 "There's an enormous revolution going on in the financial services industry," Jack Wigglesworth, the chairman of Liffe, said. "The question is whether you'll even need exchanges in the next century."
 とまで言っている。私が興味を持つのは、取引所で起きていることは、同じような取引形態を持つ実体経済でも起きる可能性があるということである。つまり、今までのように取引に膨大な数の人間を必要としていた時代から、「electronic trading」の時代への移行である。良い悪いの問題は別にして、今の状態でいけば大勢の人間がワイワイガヤガヤと声を出し、動き回り、紙が舞う取引所の姿は過去のものになるだろう。視認できる取引の形は徐々になくなるというわけである。そしてそれは、取引所と同じ形態を持つ実体経済にも入り込んでくる。人間はもっとやることを選べるようになる...とも言える。

98年06月11日

 一日眠かったですね。午前3時過ぎ起きはさすがに辛い。台湾から帰ってきたばかしで、番組の中で「香港ドル」と言うべき所を「台湾ドル」とつい言ってしまった。(^_^)(^_^)。まあ、番組で間違えるのも、愛嬌です。自分の番組をやっていたときにそう思った。見ている人は、それを面白がっているのです.....とどこまでも楽観的だと言われそうですが....。

 アジアの市場の荒れはひどいことになってきた。元凶は日本と言われかねない状況。中国の外務省のスポークスマンも布石を打ち始めたように見える。東京市場では日経平均が1万5000円割れ寸前の水準まで下げたが、根谷ちゃんのメールによれば海外市場ではもっと下げているらしい。金曜日の市場は心配ですな。金大中が見事な演説をした韓国の株価は、久しぶりに反発。姜さんに電話したら、韓国企業の資金調達ニーズは高く、外人が韓国の株を買っていないという。韓国では、まだまだ市場の先行きは楽観できないと言うことだ。

 しっかりしなければいけない国の名は明らかだし、その国が何をしなければならないかも分かっているが、とにかく行動が遅い。「敏速」さがすべてなのに。
 

98年06月10日

 「梅雨寒」というらしい。雨が続いて日照時間が少なく、寒い日々が続く今のような状況を。考えると、台湾に行った先週の木曜日からこの「梅雨寒」が続いているような気がする。台湾は寒くはなかったのですが、日曜日に帰ってきたら寒々とした印象で、その後はずっと「梅雨寒」。オフィスや家にいて外に出なければあまり感じないのでしょうが、今日も昼前からオフィスに帰れない状況で、もろに「梅雨寒」の打撃を受けた。許して欲しいですね。
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 久しぶりに「IBJの鯛茶」を食べました。あるんですよ、あの「戦艦」ビルの上の食堂に。為替の花井ちゃんのお誘いで、新しくできた部らしいのですが、市場投資調査部というところの飴谷さん、田村さんと4人で。そういえば、IBJの食堂では、「鯛茶」以外食べたことがない。「鯛茶」は本当に好きなんです。丸ビルの下に一つ、日本ビルの下に一つ、「鯛茶」を食べさせてくれる店がある。日本ビルの下は確か「嵯峨野」といったと思う。「IBJの鯛茶」も美味しいんです。以前は東京駅の近くに「ちくよう亭」というのがあって、ここではマグ茶も食べれたのですが、今はなくなっていると思う。

 いろいろな話をしましたが、「市場」と「投資」と「調査」が部の名前に入っている通り、幅は広いがフォーカスをどこに置くか、調査はするとして何に向かって、どう自己主張しながらなどいろいろ難しい問題があるようです。どこでも同じです。「調査」と「結果」のつながりをどうつけて存在を示していくか。もう「過去」の解説では通用しない。細かい数字を並べても、お客さんからは感謝されない。

 「細かい数字を積み上げても、経済の実体や動きは分からない」というのが私の考え方で、無論数字は見ますが、私の場合はもっと大枠的、感覚的なものを大事にする。数字を追うことは多くの人がやっていますから、また私がやらなくてもよい。一つは、数字が揃うには時間がかかるという問題がある。まあそんな話をしながら、私は美味しい「鯛茶」を頂いたというわけです。花井ちゃん、IBJの皆さん、tks。
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 一つ講演をして大手町のオフィスに寄って、夕方からは久しぶりに大場さんのところ(国際金融情報センター)のパーティーに。ははは、大場さんと会うのは楽しみなのです。必ず新作のジョークがある。今回も、「三人の剣士」というジョークを聞きました。ウーン、著作権がどうなっているかわかりませんので、ここでは紹介できませんが。パーティーに来ているメンバーが相当若返っていた。

 ばかげた話を聞きました。今は大蔵省の人は高校時代の同期と一緒に食事をすることもできないのだそうです。何という「行き過ぎ」。これは、「基本的な人権の侵害」と言っても良い。MOFの慣行に行き過ぎたことがあったにしても、そんなタコ壺に入ってしまって、すさまじい外の世界の変化に付いていけるのでしょうか、現状認識ができるでしょうか。これだけネットワークが進歩した世界にあっても、人と人のつながりは非常に重要だし、「会う」という行為の中でしか伝わらない情報はいくらでもある。シリコンバレーが「蝟集」を見せているのは、その良い例です。

 高校時代の同期にも会えないのなら、東京のど真ん中の霞ヶ関に大蔵省やその他官庁を置いておく必要はない。倫理を取り戻しながらも、早く馬鹿げた「行き過ぎ」からは脱して欲しいと思います。MOFの知り合いに、「その行き過ぎこそ、intervention の対象では」と言っておきました。

98年06月09日

 台湾には小生はカメラをもっていかなかったのですが、内藤さんが持っていって下さったので、たくさんの写真が入手できました。TKS。それにしても、デジカメの写真は便利です。台湾で会った人達にも、メールに添付して直ちに送ることが出来る。彼らも、それを処理して何かに使えば良い。内藤さんの「株式」のページには、ショーの風景など小生が掲げた写真以外にも写真がありますので、ご覧になりたい方はぞうぞ。

 原稿の締め切りは迫るは、テレビやラジオの朝の番組での出演依頼はくるは、講演の準備はしなければならないはで、ちょっと時間のない日々。原稿はまずは新潮社の Foresight に一本書きます。次に経済誌に。テレビは木曜日の朝のテレビ東京。三原さんにつかまってしまった。アナウンサーの吉野あやちゃんがいまホームページ作りに挑戦していて、その指南もしないといけない。為替が動くと、その関係の取材も多くなります。あやちゃんのホームページはどんなのができるか楽しみ。

98年06月08日

 私が台湾に行っている間に、5月31日に書いた「ハオハオ亭亡憂録」の中の「お坊さんの数の数え方」に関して、小池さんがメールをくれました。もう私は全部覚えました。実は、これを台湾のちょっとした飲み屋で話したら、えらく「尊敬」の目で見られました(^_^)(^_^)。漢字の先生くらいには見えたかも知れない。
 

  1. 大無人
  2. 天無人
  3. 王無中
  4. 罪無非
  5. 吾無口
  6. 交無人
  7. 切無刀
  8. 貝無目
  9. 鳩無鳥
  10. 早無日
 上から1→10です。おや、「ハオハオ亭亡憂録」では「1」は、「天無大」だった。「大無人」でも確かに「1」になる。いずれにせよ、小池さんTKS。小池さんはこの6月1日からUBSで為替を指揮している。
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 「Y2K」に関して、以下のメール。
 Hi, I visited your WWW site and saw your link to Year 2000 testing tools. We also develop a Y2K tool called Yes2K. It tests Windows and DOS PCs, and can automatically test and fix all PCs connected to a network. If possible, could you also include a link to our site? This will enable users to download the product and test their PCs.

 Yes2K - The Year 2000 Fix for PCs and LANs

 BTW, we've started a free Yes2K Partner Program where you get Yes2K customized with your message. When users test their PCs, they'll see that it was supplied by you. The Partner Program can reinforce your Year 2000 message, or let the user know what you're up to. It's packaged as a self- extracting EXE (600K) and can be placed on your Web site for free download.

Best Regards,

Jim Adams - Yes2K Product Manager
Safetynet, Inc

 私はこの商品の有効性を全く保証しません。しかし、ご興味のある方は試してみられると良いと思います。

98年06月07日

 寒い。東京は。台湾から来るとなおさら....とか言うと、怒られそうですね。東京にずっといた人間にも寒いと。昨日からですか。しかし、台湾とは随分と温度が違う。南国から来た身には、こたえます。台湾のホテルから door to door で大体7時間ですか。それほど遠くない。
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 せっかく台湾にまで行きましたので、観光もしました。一番の定番は故宮博物院でしょうか。中国の長い歴史を見ることができますが、わずか数時間では全部は見れない。とにかく文物が多いのです。(^_^)(^_^)それでも北京の故宮博物館とは比べものにならないでしょうが、一見の価値ありです。入り口の右側で荷物をただで預かってくれる。お寺は二つ見ました。龍山寺と行天宮。印象に残ったのは、後者です。青い服を来た人々がなにやら祈りを捧げていて、非常にエキゾチックな印象がする。龍山寺には行き場を失ったような老人がたむろしていて、有名だし歴史もあるのでしょうがあまり良い印象は残らなかった。
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 よく食べもしました。こちらの人に一緒に連れられてが大部分ですが、ホテルの近くを散策したりもした。腸明山の袂にある「禾園」は忘れられない。このレストランには、温泉があるのです。食事の最中でも、それ以前でも一人部屋の硫黄温泉に軽く入って気分をすっきりして食事が楽しめる。温泉は硫黄の臭いが強く(ですから天窓が常に開いている)、またお湯も白く濁っているのですが、それがまた異国情緒があって良い。出てくるのは台湾料理で、これがまた楽しめる。一つ一つが部屋になっていて、かなり大きな団体で行っても楽しめるのではないでしょうか。

 最終日の7日の昼に行った「桂桂保齢球館」(松江路223号)というボーリング場の下にあった「榮星川菜餐廰」(2506-6899)の四川料理も素晴らしかった。多分ここがかなり長く記憶に残るであろう原因は、ちょうど我々が行ったときにその会場で結婚式をやっていたのです。12人座れるテーブルが26卓並ぶ大きな結婚式で、我々はその同じ会場に入って。最初は気が付かなかったのですが、店の人が「今日はここで結婚式がある」と教えてくれて、しばらく写真をとったり観察したり。台湾のそれは参加者だけの締め切った部屋での結婚式ではないのです。(^_^)(^_^)

 花嫁さんはウェディング・ドレスで綺麗に着飾り、大きな会場の控え室からお婿さんと主賓達が座る会場の一番テーブルに移動する。日本のように一段高い雛壇はないのです。その新婚さん二人の後ろの壁には、
 「天作の合」
 「永結同心」
 「才子桂人」
 と書いてある。なるほど。また例の喜の字が二つ並んで、それが○で囲まれている。今回レストランの人に聞いて初めてその意味が分かった。なぜ「喜」が二つ並んでいるか。これは、結婚は二人でする。従って「喜」が一つではダメで、二つある。しかも、円満なように○の中に入っているというのです。

 日本の結婚式よりはるかに型にはまらないと思ったのは、まず会場そのものがオープンであること。だって日本から来た我々が食事をしているその部屋の30メートルくらい離れたところで式をやっているのです。レストランで食事をしている人なら誰でも見ることが出来る。新郎新婦が入場するときに、ファンファーレが鳴るわけでもない。全員が(^_^)(^_^)拍手をするわけでもない。二人が入ってきたことを見つけた人達が寄ってきて、クラッカーを響かせるだけです。まあ最後まで見ていたわけではないのですが、式そのものが非常に実質的な印象がした。正装している人あれば、普段着の人あり。このレストランは、また行きたい。当たり前ですが、今回の台湾でも改めて認識させられたのは、一番まずい食事を食べさせるのはホテルだ、ということです。
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 今回の台湾旅行では、日本語が分かる方々では漢華創業投資の田中副董事長、IFCTの高橋總経理、Walsin Lihwa Group の馬場副董事長、台湾通信の早田発行人(3番目の写真)、台湾富士通の Yi-Wen Wu さん(早田さんの奥さん)などに話を聞くことが出来ました。4日台湾にいたうち、晴れたのは6日の土曜日だけ。全くラッキーなことにこの日に半日だけ林口〜〜ということろでゴルフをしましたが、これもなかなか良かった。台湾にはぜひまた来たい。

98年06月06日

 台湾にいる日本の人達はほぼ例外なく、「台湾の人々は、日本人を大切にしてくれる」と言う。そう言われたからかもしれませんが、私が受けた印象もそうでした。同じように日本の支配を受けながら朝鮮半島の人達とこの島の人達の日本に対する印象が大きく違う理由は、来る前から私にとっても感心があった。ある本には、「それはそれぞれを支配した日本人の最高責任者の個性の違い」と書いてありましたし、「日本があえて違う統治方法を試したからだ」という見方もある。ある日本人は、台湾の人々の日本に対する印象が良いのは、日本人が去った後に国民党の連中が外省人として来て、内省人を徹底的に弾圧して支配し、その結果「悪者」が入れ替わったからだ...とも解説してくれた。この問題はもうちょっと調べてみたい。
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 台湾はどうみても、まだ開発途上の国(あえてこの言葉を使いますが)である。人々の着ているものは日本人から見ればまだ粗末だし、道路などのインフラは大きな区画では日本より優れているものの、一つ一つの小さい道の整備具合を見ると、まだひどい。しっかり下を見て歩かないと、舗装道路もでこぼこがあってつまずきそう。全体的印象を言えば、汚い。街を疾走するスクーターやバイクを見るとタイを思い出すし、道路を走る車のマナーはと見ると「ない」と感じる。そう、どこか荒削りなのです。

 しかしまた、活気を感じるのも確かです。COMPUTEXで会った店を構えていた連中は、簡潔に要点を手短に話し、自信に溢れ、極めて forward-looking に見えた。「まだ立ち上げてないが....売りましょう」といった話も多かった。つまり「前に前に」とつんのめりながら生きている印象もする。台湾の今のコンピューター産業を育てた人々は、もともとは「鰻の養殖」や「養豚」をしていた人が多いという。彼らはそれでお金を貯め、アゼンブリーから今の世界的な地位を築いたという。鰻や豚は相場もの、病気が怖いとリスク産業です。

 その産業がどこまで来たかというと、一部の工場の歩留まり率ははるかに日本より高いというところまで来たという。「日本はまだなぜ日本国内でコンピューターを作っているのだ」と首を傾げる台湾の人々が多いという。台湾で全部やれば、安くできるというわけです。実際の所、富士通などの多くの日本のコンピューター・メーカーは台湾ではパソコンを作っていないと言う。作っているのは日本電気で、完全に Made In Taiwan だそうです。日本のコンピューター・メーカーが台湾で売っているのは、サーバーやスーパー・コンピューターなどの大きなマシンだという。

 話を聞いていて日本と一番違うと思ったのは、「税制」です。法人税も個人所得税も最高税率は25%。大体日本の半分です。しかも、輸出に関する税金、企業を立ち上げる時の税金は極めて産業界に優しい。日本は今の税率でも80年代は活気があったわけだから、税率だけが経済の活気を保証するものではない。しかし、「税制」は経済の活気のベースのようなもの与えると思います。社会的なインフラとか、働く人間の能力水準など多くのファクターが起業にはありますが、税率だけ見るとこのアジアでも日本が産業を引きつける力は弱いように思う。

 今回は急遽決めて来たために、台湾の産業界やその他のトップとアポを入れることはしませんでしたが、いろいろな人から話を聞くと彼らはほぼ例外なく英語を操り、自在に英語でのやりとりが出来るという。「経営者の国際化」は日本よりよほど進んでいるというわけです。経営者のアメリカ化も着実に進んでいるようです。「日本語を学んで、日本の企業に勤めても偉くなれない」という状況の中で、アメリカを学び、英語を勉強し、アメリカの企業に努めて成功へのチケットを掴むというのは、確率の高い道だということです。

98年06月05日

 台湾は雨が降り続けております。日本の梅雨入りを避けてこの南の島に来た....と思ったのに。雨は我々を見逃してくれなかった(;_;)。これでは、夜の街をふらふらしようという気にもならない。
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 朝から展示会場の「世界貿易中心」(WORLD TRADE CENTER)に。朝9時オープンですから、8時20分にはホテルを出て、これまた凄い交通渋滞の中、会場に着いたのは9時5分前。正解ですな。まだあまり人が来ていないので、入場もスムーズ。とにかく大きな会場なのです。名前を聞いたこともないようなパーツ・メーカー(筐体からマザーボードなどあらゆる部品)がずらっとブースをもって自社製品を展示している。

 一つしまったと(私以外の3人が)思ったのは、この会場に来る人は名刺を束のように持ってきて、それを関心のあるブースに置いて、展示終了後のメールのやりとりなどで商売を進める手順をとっていること。私は商売で来ているのではないので良かったのですが、他の3人は日本で売り出すパーツの確保(またはルート確保)が狙いの一つですから、ただちに名刺が払底した。可哀想に。私の名刺を貸してやるわけにもいかない

 聞いていると、日本の価格よりかなり安い。つまり、台湾に来て部品を寄せ集めてデスクトップなりラップトップを組み立てれば、パソコンなぞは日本の市価の半分ちょいで出来るのです。これはなかなか魅力的。多分かなり良いラップトップも20万円を切る価格で組立が可能です。パソコンはほぼすべての部品がパーツ化(共通化)していますから、少し知識があれば出来る。日本でもパソコン組立教室が出来始めている。

 問題は、取引単位が「100個」とかまとまっていること。つまり、一台二台では話にならない。ある程度量がさばける企業がこの商売に取り組むのには魅力がある。アキアがそうでしょう。この台湾のコンピューター・ショーの会場を廻っていると、日本のパソコン価格もまだまだ大きく下がると確信できる。興味深いのは、「うちは来月から出荷する.....」といった新興企業がかなりブースを構えて、既に商売していること。ラップトップには魅力的な商品が揃っていました。車で轢いても壊れないパソコン、水の中でも使えるパソコンなどなど変わり種が結構あった。ただし日本のラップトップに比べると、ちょい重い。全体的な印象ですが、「小型化・軽量化」には日本に一日の長があるように思う。

 朝方は空いていたのですが、会場は10時を過ぎるともの凄く混んできて、移動もままならないような状況。その中でも数時間を会場で過ごしました。足が棒になった。彼ら3人はまだ会場に居るというので、小生は全員で昼飯を食べたあとはちょい街の見物に。しかし、相も変わらず雨。タクシーをチャーターして2時間くらい廻りましたが(それでも日本の数分の一)、運転手さんが「朋友住東京」とか名刺に書いて「漢字交換会話」を実施。「朋友」とは「町田市に住んでいる渡辺先生」で、そこに彼(葉 成雲さん)の息子さんが行っているらしいのです。ははは、時々この彼が車を動かしながらメモを漢字で書いて渡してくる。それでいて「台湾...motoring(発音して)...crazy(手振りで)」と。心の中で、「一番危ないのは、おめえの運転だよ....」とか思って見ていましたが....。名刹を中心に見ました。多くの人が祈りを捧げていた。私も跪いて、お祈りをしました。(^_^)(^_^)
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 ところで、台湾のホテルの通信事情は総じて良いようです。私たちが宿泊しているホテルはそれほど良いホテルではないのですが、電話回線のジャックも日本のものと同じですし、それをコンピューターにつないで「0,00281......」でつながった。小生のバイオが「0,」で使えたのはこれが初めてです。またホテルの一階にはいくらでも自由に使えるインターネット接続のPCが置いてあって、あいてさえいれば使える。FTP も使えるし、便利です。こういったサービスは日本のホテルより進んでいると思う。

 それからこれは自分の問題ですが、一つ進歩したと思ったのはこちらに来てから「こりゃ電話代がやりきれん」(東京に国際電話していたので)と思ったことから、急遽ですがグローバル・ローミング(Global Roaming)に取り組み、やや曲折はあったもののそれに成功したこと。プロバイダーがこの取り決めに入っていることは知っていましたが、今回台湾に来てから急遽契約を締結し、直ちに有効に。そこから渡っていって台湾のプロバイダーを見つけ、新しい接続アイコンを作った。一つ失敗したのは、DNSを入れてしまったことでこれでちょっとトラブリましたが、あとこれを外して SMTP をグローバル・ローミング用のものにして完成。これで台湾のプロバイダーからスイスイとインターネットに接続できるようになった。これは、経費的に全然違います。

98年06月04日

 ハプニングというのはあるものです。成田を飛び立った我々の飛行機(EG203)がまず着陸したのは、台北空港ではなく関西国際空港でした。まあ言ってみれば「緊急着陸」ですが、その理由は搭乗員の女性の一人が機内で気分を悪くして、かなり容態が悪化したため。離陸して1時間30分くらいですから、飛行機は関空をちょっとオーバーランしたところから戻ってきた感じ。その搭乗員の方は本当に苦しそうで、お気の毒でした。直ちに救急車で病院に直行。

 離陸して1時間くらいして、「機内に病人が出ましたので、お医者さん、看護婦さんはいらっしゃいますか....」のコールがあったので事故が発生したのは分かっていましたが、まさか航路変更、緊急着陸になるとは予想しなかった。あるんですね、こういうことが。しかし、機内は整然としていて、関空で移動電話をかける人が急増したくらい。新幹線でも未だに「遅れ」を経験したことがない私としては、ちょっとした経験でした。余計な離着陸を一回したために何が生じたかというと「燃料不足」。そこで、約30分かけて燃料補填。というわけで台北に到着したのは予定より1時間30分遅れの現地時間の午後2時30分くらい。
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 到着した印象は、「暑い」。摂氏で28度とのことですが、湿度が高い。冷房の効いたところから外に出ると、(^0_0^)が全く見えなくなる。まあこの湿度とは4日間お付き合いするわけです。サイパンとほぼ同じ緯度くらいですから、暑いのは頷ける。結構笑えたのはタクシー。時速100キロ近くでとばしていながら、高速道路で前方の車両との車間距離がほんの僅かしかない。日本の10分の一の土地に2000万人以上が住んでいる過密国家ですから「ニアミス」状態なのは分かりますが...。しかし、「こいつら、いつもこうなんだろうな」と思ったら、運転手も慣れているでしょうから別に怖くもない。しかし、走っている車のでこぼこを見ると、(^_^)(^_^)接触はよく起きているのでしょう。

 コンピューター・ショーのことは空港から宣伝が見られる。台湾としては結構力を入れたショーなんだろうと思います。しかし、ホテルに着いたのが午後3時過ぎですから、その日は会場に行くのは諦めた。寝ていて機内食を食べなかったので、午後4時に集合してディン・ダイ・フォンに直行。着いたのが4時20分くらい。夕方のサービス開始が午後4時30分ということで、ぴったし。そうですね、高島屋より庶民的な感じのする店で、4人でワイワイ食べましたから美味しかった。興味があったのは麺で、やはり私の口にはちょっと会わない。この店は、やはりショーロン君など延ばしたり、握ったりしたちっちゃな食べ物の店だと思います。

 物価はやはり安い。ディン・ダイ・フォンでかなり食べましたが、一人2000円くらい。簡単なんです。1 New Taiwan Dollar はほぼ4円。「価格×4=円貨」です。食べたらまた眠くなって、午後6時くらいにホテルに戻りまた寝て起きたら、夜の10時前でした。テレビを付けたら、NHKがばしばしやっている。韓国と同じですね。日本人は苦労しない。NHKBS と総合がばっちり。佐々木が新記録達成だと。なるほど。横浜もやっと勝ったというわけですか。

 一時間得した気がする。時差がある。東京の方が進んでいる。はは、到着から寝るまでずっと雨でした。外は。明日は、午前8時30分にロビーで待ち合わせて、朝からショーに行きます。台湾の方々に電話するのを忘れた。朝せねば。

98年06月03日

 すみません。準備などに追われて時間がござらぬ。情報をくださった、木村さん、松本さん、クーさん、福田さん、高橋さん、早田さん.....tks。明日行くコンピューター・ショーの名称と、そのサイトは以下でござんした。

 ははは、「その日私、ロンドンに行きます。空港でお茶.....」なんてやつも現れました。どのかの週刊誌に「タナカの法則....」とか書いているフィスコの田中ちゃん。それでは......。(たぶんメールは見れます)

98年06月02日

 休暇を利用して4日から7日まで台湾に行ってきます。初めてです。あの島に渡るのは。一緒に行くのは、内藤 俊雄さんBSLANDの連中。全部で4人です。何がメインかというと、台湾で開かれるエレクトロニクス・ショーを見に。台湾は今や、ハードの一大製造基地です。実は小生は、東京でもコンピューター関連のエレクトロニクス・ショーを見たことがない。だから、初めて台湾に行くというということと、初めて大きなコンピューター・ショーを見に行くという意味で、楽しみです。

 台湾の映画や歴史は多少は知っています。いろいろな思いもある。また、最近は会う人ごとに台湾のことを聞いている。今日も昼飯は東洋経済の中では随一のアジア通である福田氏とメシを食いましたが、彼からいろいろ話を聞き、当地で接触すれば良い人も紹介してもらった。また他の何人かの人にも、話を聞いた。tks。まあ、いろいろ話を聞いた上で、虚心坦懐に彼の地を見ようかと。

 私以外の連中は、見るだけでなく色々狙いがあるようです。いろいろな部品がありますから。まあ、ある程度は付き合いますが、小生はなるべく多くの人に会い、いろいろなものを見てきたい。大陸との違いも楽しみです。10年パスポートも滑り込みでゲット。一応ラップトップももっていく予定ですが、どうなることか。何か台湾に関して情報がある方は、ご連絡下さい。

98年06月01日

 本日のnews and analysis (pdf file)の通り、当面の為替相場見通しを変えました。年初の見通しが141円だったのですが、正直ここまでの円金利の低下(指標182回債で本日は1.165%)は予想できなかった。もっと残念なことは、日本の景気がここまで悪化するまで放置されるとも思えなかった。本当に、日本という国は素早く動く面もあるものの、一方では梃子でも動かない国だと思う。残念ながら。

  まあしかし、人間の作っている社会の変化というのはどこでも時間がかかるんでしょう。たまにしか見ませんが、徳川慶喜を見るとほとんど笑える。本当に変わっていない。この国の意思決定のプロセスは。まあ、つつき所はちょっと変わってきているのでしょうが。世の中や自分の所属する組織を変えるのは難しい。自分が勝手に変わってしまうのが早いのですが、それでは面白くない。
 ――――――――――
 今日は一つ決めたことがある。カウンターなど料理人が目の前で料理を作ってくれている店で、その料理が本当に美味しかったら「拍手」をすることにした。だってそうでしょう。音楽だって、演劇だって、本当に良いものにはその場で観客として「拍手」をする。料理も芸術です。拍手をしたり、「うまい」「うまい」と言って食べれば、食べ物は本当に美味しくなる。作る人も、張り合いがでる。美味しいと思っているのに難しい顔をしていることはない。

 「拍手」といったって、音を出さない方法もある。要するに、作っている人との意志疎通です。作っている人だって、お金が儲かる以上に食べてくれた人が喜んでくれるのが嬉しいでしょう。目の前で自分が食べるモノが出来てくる。目で楽しむ。自分の前にもってくる。そして口に入れる。最高だったら「拍手」です。静かに拍手をしてもいいし、多少の音を出しても良い。

 早稲田・鶴巻町の「松下」の和食は、本当に美味しい。道楽が6人も集まって食事会をしましたが、本当に何回か拍手をした。ははは、店全体が盛り上がった。ナイスですね。
 ――――――――――
 昨日紹介したエコノミストのスクリーン・セーバーをダウンした方は、時間を「日本時間」に合わせて下さい。デスクトップ上で右クリックして「プロパティ」→「スクリーン・セーバー」と進み、「設定」のところで「GMT+9時間」を選べばよい。これで、スクリーン・セーバーが時計になってくれる。それだけでは、目覚ましにはなりませんが....。


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