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2020
05/23
Sat

「政策至上主義」(石破茂 新潮新書)

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 いや、単なる私の思い込みかも知れませんよ。でも「次に総理大臣を狙う日本の政治家は、本、特に新書を書きたがる」という印象を持っているのです。首相になれたかどうか、なれるかどうかは別にして。やはり「本」の出版は権威付けになるのかな。それとも国民との事前の意思疎通? 「(座につく前に)一冊欲しい」というのは共通の思いのようだ。

 今の安倍晋三さんは確か「美しい国」(文春新書)だった。読み終えたときに「ナルちゃんかな」と思ったし、「やや一方通行の思いが強すぎる」と感じました。このままこの人が政権の座についても「短いかも」と思って、テレビでそう発言したことがある。実際に安倍さんの第一期政権は短かった。本は読む人に強い印象を残すし、その人が普段は見せない思考パターンをさらけ出す。先行きが読めることが多い。

 与謝野 馨さんの「堂々たる政治」(新潮新書)を読んだときに、「あ、この人は総理大臣を狙ってこの本を書いたな」とはっきり分かりました。今でも覚えているのはあとがきに「この国に役立たん、いざ」と言ったことを書かれていたこと。その思いがあったので民主党に移ったのだと私は思う。しかしその後に体調を崩されて、そのまま政治の世界から去られた。

 多分、石破茂さんも「政策至上主義」(新潮新書)を座を狙って書いておられる。だって政治家の一番大事な仕事は「政策を立案し、それを実行すること」と本で書いているのだから、それをする為には日本の政治のトップである総理大臣になる必要がある。政策を一番実行できる立場。

 特にワクワクする本ではない。「思った通りの真面目な人だ」という印象だが、何故政治家になったのか、どんな人を仰ぎ見てここまで来られたのかということが良く分かる本だ。いや、安倍さんの政権も終息が近いかもとか思って紹介しているわけではないので、あしからず。

 石破さんは、政治の表舞台から去っている時間が長すぎるのでこの本を書いた、ということもあると思う。「私だったらこうする」という面も書いてある。しかしコロナ禍のこの激しい世界の変動については当然書いてない。石破さんにはもう一冊書いて欲しい気もする。

 本の中身はあったかいし、いろいろな思いが詰まっている。でも本のタイトルの「政策至上主義」というのはいただけない。どこか冷たい。でもそれが石破さんのイメージそのもののような気がする。そこで損している。

 安倍さんを取り巻いている人達には、色々な問題があることがここに来て非常にはっきりしてきた。この本を読みながら、「石破さんを取り巻く人々はどんな人がいるのだろう」という興味を持った。なぜだったら、政治の世界ではいろいろな役割を果たしてくれる人が沢山いる必要がある。一人で全部動かすことは出来ない。しかし変な人を自分の周りに集めると、政治がおかしくなる。

 この本の帯には「次期総理候補No.1」とある。本当にそうなのかどうかは知らない。しかし「候補の一人」ではあるのだろう。「この本で総理になる」という意気込みまでは感じられない。しかしこの方の考え方はよく出ている。お楽しみに。

21:22
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