日々のライブな情報ページ

2019
07/29
Mon

悲しいし、とっても残念です

day by day
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 とっても悲しい知らせです。私にとってもですが、日本料理界にとって大きな悲しみであり、損失だと思います。

 西新橋で京料理の店を長く出しておられた「京味」の大将・西健一郎さんが、お亡くなりになった。ご家族の話によると、亡くなられたのは金曜日の昼。入院中でしたが、朝は看護婦さんとも話をされて、それほど容体は悪くはなかったそうです。しかし昼頃に容体が急に悪化し、奥様とお嬢様二人が駆けつけた後に他界されたそうです。

 「僕はチューブに繋がれて死ぬのは嫌だ.....」と元気な頃からおっしゃっていた西さん。最近は足を悪くされて、歩くのもちょっと不自由されていた。しかしそれでも店に出て、伺うといつも話はうまいし、当然ながら料理は美味しいを通り越している。時間を過ごすのがとっても楽しい店でした。

 私が新潮社から「カウンターから日本が見える」(https://www.amazon.co.jp/カウンターから日本が見える-板前文化論の冒険-新潮新書-伊藤-洋一/dp/4106101831)を書いている時にも、本当にいろいろ教えて頂いた。お父様も有名な料理人で、親子で日本料理の神髄のような方でした。若い時に店を出られるお客様が「美味しかった」と言ってくれても追いかけて「本当ですか。何か気になることはありませんでしたか」と聞いたという西さん。お節を作る姿はNHKの特番にもなりました。

 奥様もいらっしゃるし、立派なお嬢様お二人もおられる。「みっちゃん」という西さんと長く一緒に仕事をしてきた小豆島出身の方もいらっしゃる。私と同い年の彼は元気です。でも「足」は問題で、やはり料理人は立ち仕事が長いので、足を悪くする人が多い。「少なくとも12月までは予約もあるので営業を続けるつもりです」とお嬢様。だから「京味」の料理は当分健在です。

 いろいろ教えられる方でした。お客様にはほぼ当分に話をふられる。誰も孤独にしない。話題も豊富で、「一流の方はなんでも一流」という印象が強い。ニュースや情報にもキーンで、「私はこう思いますが、先生はどう思われます」といつも話を振られた。なによりも料理が美味しかった。毎回、幸せな気分になれた。絶品揃いで、かつ季節を堪能できた。最後の最後までいつも頭の中で「新しい料理」を考えている人でした。素晴らしかった。

 日本の各地で食事をして店の方と話をして、西さんを知らない人はいなかった。全く。それだけ日本の料理界でも尊敬されていたのだと思う。本も沢山残された。その本を何回も何回も黒くなるまで読んでいる料理人を何人か知っている。先日そのうちの一人を西さんに引き合わせた。

 ただただご冥福をお祈りします。合掌。

00:23
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